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ニュース

2017年2月 9日 (木)

「アパホテル騒ぎ」に投じたウィグル人の一石

★旅先のホテルの部屋に宗教書が置かれていることを、しばしば目にすることがある。無宗教の身にとって多少の違和感を持つことがあっても、そのこと自体ホテルの経営者の自由であり、見なければ良いだけの話。先日外国人旅行者がアパホテルに宿泊して「南京大虐殺」を否定するような内容を含んだ書籍が置かれていることを問題視、ネット上で拡散する騒ぎとなった。そして札幌で行われる「冬季アジア大会」で中国が宿舎(札幌のアパホテル)の変更を要望する騒ぎにまで広がった。

★また、この騒ぎが飛び火して、新宿の「アパホテル」付近に中国人と見られる100人ほどが押しかけ、デモをしかけた。これに対し「行動する保守運動」を中心とした右派系グループら百数十人が対峙した。この時の様子を取材した産経新聞電子版の記事の一部を転用する。

【転用】保守運動代表者の桜井氏は「20万人しかいなかった南京市で30万人の虐殺?ふざけたことを言うな」と声を張り上げた。さらに「要請文という名の強要書を彼らはアパホテルに出そうとしている。絶対にそんなことをさせちゃいけない」と訴える。そこで中国人と見られる2人組と口論もみ合いとなり、殺気立った雰囲気となった。その時桜井代表は1人の外国人男性にマイクを渡した。男性は中国・新疆ウィグル自治区出身者で、静かに語り出した。
「中国の官製デモが、この素晴らしい民主国家、アジアのモデルである日本で行われている。こんな素晴らしい国家で、こんなくだらないデモが・・・」 男性はトゥール・ムハメットさん。世界ウィグル会議日本全権代表を務め、世界ウィグル会議のラビア・カーデイル氏(70)が来日し、講演した際に通訳を務めた。ムハメットさんは続けた。
「1949年の中華人民共和国建国以来、数えきれない殺戮、弾圧、海外侵略を行っています。中国中央民族大学のイルハム・トフティ先生もウィグル人の基本的人権を守るために発言しただけで、無期懲役の判決を受け、新疆ウィグル自治区の獄中にいます。どうしてこの素晴らしい(日本という)国家で、こんなデモをするのか。建国以来、ウィグル人、チベット人に対する虐殺は許されません。私はこの平和な日本で、平和がいかに大切か痛感しています」
そこまで話すと、ムハメットさんは「日本の秩序を守ってくださる警察官に心から敬意を表します」と言って締め括った。ムハメットさんのツイッターによると、「全く個人で、アパホテルデモに反対する気持ちで、新宿に来た」のだと言う。目視で100人程と見られるデモ隊は沿道に陣取った右派系グループとのトラブルを避け、要望書の提出は断念したと記事は締め括ってあった。【転用終り】


★このムメットさんの訴えに大きな感銘を受けた。中国から長く虐げられてきた新疆ウィグル自治区の出身者だからこそ、その訴えに説得力がある。それにしてもデモ参加者は就業ビザか就学ビザで来日した中国人と推察されるが、日本に滞在して「言論の自由」の有難さを感じていないのだろうか。と言うより、言論の自由の何たるかが分っていない。憲法21条・1項には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とある。私権が制限される共産主義国家に育ったものには理解できないのかもしれない。国家の体質が個人の骨の髄まで沁み込んでいるとしか言いようがない。

2017年2月 7日 (火)

フェイク・ニュースの横行を憂う

★昨年あたりから欧米を中心にとんでもないウソ・ニュースが連日ネット上に広がっているという。エイプリル・フールなら年1回の笑えるウソで済むが、このフェイク・ニュースというものは、虚偽のニュース捏造した情報などをSNSと呼ばれるフェイスブックやツイッターなどを通して意図的に流すもので、世論操作や情報妨害などを狙ったりしている。また、正しいニュースや情報であっても、曲解されたり、予期せぬ方向に歪曲されたりして、大変な損害を被ったりする例もあるという。

★昨夜のNHK「クローズアップ現代」で取り上げていたが、その実態を知るにつけ、空恐ろしい世の中になったものだと吃驚してしまった。周知のことではあるが、その具体例を昨年のアメリカ大統領選に見ることができ、大統領選の最後の3か月間はフェイスブック上の選挙記事は捏造ニュースの方が主要メディアのニュースよりも遥かに多かったという

★”ローマ法王がトランプ氏を支持”といったものや ”クリントン氏がイスラム過激組織に武器を売却”といった明らかにデマと言えるものや、”世論調査でトランプ氏の支持率がクリントン氏を上回る”といった世論操作的なものなど、自己に都合の良い情報を旨く利用したのがトランプ大統領であり、彼の取り巻き連だ。真実に見せかけたニュースをネット上に拡散させ、敵陣営にダメージを与える手法は、まるで戦国時代の情報戦の謀略・策略を想起させる。しかし、当時との大きな違いは誰でも簡単に瞬時にデマを流せるという大きな技術の変化があることだ。一旦流された情報は一人歩きし、しかも取消しや修正は利かないという大きな危険を孕んでいる。

★これらフェイク・ニュース横行の背景に何があるのか? ひとつにはマスメディアの信頼が低下しているからだと言えるだろう。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの米一流紙と言われる新聞は一部エリート層だけに支持され、特権階級意識が強すぎたのではないか。日本では朝日新聞が「慰安婦問題」で大きな誤報を犯し、その後の日韓関係を悪化させ、沖縄の海で自作自演の珊瑚に落書きした虚報事件を起こしたりした。行き過ぎた特ダネ報道姿勢がメディアの信頼を揺るがせている。

★一方、情報の受け手である民衆は、多くのメディアが発する洪水のような情報に囲まれている。新聞は購読しなくともネットを通してタダでニュースを見ることができる。友達や仲間とのコミュニケーションのツールとして、また情報を発信する手段として、フェイスブック、ツイッター、ラインなどのSNSは最適の媒体であり、欠かせない存在となっている。人は情報が多ければ多くなるほど、自分にとって都合がよい情報のみ選別して受け入れようとする。友人が送ってきた情報なら、虚偽であっても受け入れやすい。そこには狭い価値観しか育たなくなり、大局を見る目が乏しくなる。ここに付け入り、SNSを通してフェイク・ニュースを流し、意のままに民衆を操ろうとする「悪いリーダー」が現れる下地ができやすくなる。かつて欧州で起こった悪夢が再びということにならないだろうか。

2017年1月12日 (木)

天皇の生前退位、政府決断に賛同

昨年8月8日、今上天皇が「象徴としてのお務めについてのお気持ちを表明」され、高齢による生前退位を望む方向を示された。政府は「お言葉」を受けて「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を設置して、様々な意見を聴取してきた。意見の中には「天皇は生前退位をすべきでない」とか、「現天皇に限り特例を制定することには反対だ」とか、「この際、皇室典範を見直すべきだ」とか侃々諤々の様相を呈し、果たして天皇の生前中に結論が出せるのか疑問にさえ思えた。

ところが1月11日の新聞は平成30年(2018年)12月末で区切りをつけ天皇陛下の退位を実現し、2019年1月1日に皇太子が新天皇に即位、同時に新元号に改める方向であることを報じた。今回この方向が表面化したのは、メディアのスクープか、あるいは政府関係者のリークか。報道では政府も、有識者会議も、宮内庁も「寝耳に水」と恍ける。いずれにしろ、どこかの段階で、誰かが決断しなければ前に進まない。おそらく安倍総理の判断があったことは間違いないだろう。

いままでダラダラした印象があったので、「思い切った決断をしたもの」と大いに評価したい。政府の有識者会議はまだ結論をだしていない。予定では23日に論点をまとめ公表するとのことで法整備として、①皇室典範改正による制度化、②特例法制定、③皇室典範の付則に根拠規定を置いた特例法制定の3点に絞り、その上で「特例法による一代限りの退位が望ましい」との認識でまとめる方向だという。仮にこの方向を示さず、国会に結論を委ねたらどうなったか。恐らく議論が延々と続くだろう。実に旨いやり方だ。

日本人の性向として、ある課題を与えられたらいろいろ議論はするものの、なかなか結論を出せない。一定の方向を示されたら、それに向かって一致して纏まっていくという傾向がある。今回ゴールが示されたことによって、世の中はこれに向かって一気に動き出すだろう。専門家の意見では平成30年を区切りとするならば、まずは国会審議から始まり、法整備、年号の制定など、やるべきことは山ほどあって、残された時間は2年しかなく、ギリギリのタイミングだったようだ。「天皇のお言葉」に沿って、国民の大半は生前退位に賛成しており、これからは円滑な進展を望むところだ。

2016年12月29日 (木)

真珠湾の寛容と和解のレガシー

年も押し迫った27、28日の両日、安倍総理がハワイ真珠湾を訪問し、オバマ大統領と75年前の旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊したことは、世界に向けた平和のメッセージとして大いに評価したい。今年5月、オバマ大統領が慰霊訪問した広島が太平洋戦争の終結の地を象徴するものであるのに対し、安倍さんの真珠湾訪問は戦争開始を象徴する地でもあるから、順序としては逆でもよかった。いずれにしろ、同じ2016年に、しかも大統領の退任直前に訪問したことは、影が薄くなったオバマ氏に脚光を浴びせて、最後の政治的遺産を残す形となり、まさに絶妙のタイミングだった。

安倍さんは演説の中でリンカーンの言葉を引用したうえ、「私は日本国民を代表して、米国が、世界が、日本に示してくれた寛容に対して改めて心からの感謝を申し上げる。(略)パールハーバー、真珠の輝きに満ちたこの美しい入り江こそ、寛容と和解の象徴である。未来の子供達、そして世界中の人々がパールハーバーを和解の象徴として記憶し続けることを願う」と訴えた。確かにアメリカの心の広い許容の精神が、互いの憎悪と憎しみを乗り越えて、未来志向の希望の同盟を築いてきたことは間違いないだろう。

対してオバマ大統領は「国家として、国民として、我々は受け継ぐ歴史を選ぶことはできない。しかし、我々はそこから教訓を選び、それらの教訓を生かして未来を築くことはできる」と述べ、「和解は報復よりも多くの恩恵をもたらす」と語ったことに感銘を受けた。過去の過ちをいくら指摘し、修正せよと迫っても詮無い事。暗に中国や韓国、ロシアの首脳たちに向けて発しているメッセージのようにも思えるが、寛容の精神を持ち合わせない彼らに届くことは無いだろう。

中国や韓国、そして日本の野党までが、「戦争責任に対する反省と謝罪の言葉がない」、「パフォーマンスに過ぎない」といったコメントを発する。安倍総理は昨年4月の米上下院合同会議での演説や8月の戦後70年の首相談話で「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」を表明してきた。問題は口先の表明ではなく、行動でどう表すか、お互いの当事者がどう受け止めるかであろう。今回慰霊の演説後、生存している旧米兵たちと抱擁を交わした。また米兵士の遺族や日系元兵士らも参列し、「首相の行動は単なる謝罪の言葉よりよっぽど重みがある」と語った。こうした事実こそ真摯に受け止めるべきで、未来志向の良好な関係を築くのであれば日米関係こそ良き手本とすべきであろう。

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2016年11月30日 (水)

2020東京オリンピック会場問題

小池都知事が提唱した、2020東京オリンピックの四者協議が公開の場で行われ、会場見直しが議論された。小池氏のブレーン上山氏が組織委員会は「社長と経理部長がいない会社のようなものだ」と評した。それもそのはず、「誰が全責任を持つトップなのか、この一大プロジェクトにどれくらいお金がかかるのか、収入をどう計るのか、まるっきり全体像が見えてこない」と指摘した。確かに全体像が描けぬまま「組織委員会」を立ち上げ、一人歩きを始めたからに他ならない。全体枠が示されないまま計画を進めれば、携わるものはカネのことは二の次に、「より立派な大会にしよう」、施設についても競技団体の意を汲み、「より立派な箱モノを造ろう」とするのは当然の成り行きだ。

こうした巨大なカネが動く大プロジェクトには、ひと儲けを企む良からぬ輩が群がり、ブラックボックスが生まれてくるのは自然の成り行き。すでに国立競技場やエンブレムのやり直しで大きなミソをつけている。もともと招致の段階では、途上国でも立候補できるよう、コンパクトでカネをかけない五輪を、そして復興オリンピックを世界にアピールしたはずだった。
ところが招致が決まったとたん、オールジャパンの一体感はどこへやら。組織委員会は勝手に規模を膨らまし、あるいは膨らまされ、国は形だけの関与、選手育成に関してはJOCや競技団体に丸投げ、その予算も気持ちだけ、「運営費用がオーバーした分は、招致した東京都に請求」、では小池さんならずとも「待った!」をかけて当然だ。
だからこそ原点に返り、2020東京五輪は何を目指すのか、何を残すのか、その理念のもとに全体像を設計し、戦略・戦術を練って、「東京都・国・IOC・JOC・各競技団体・パラリンピック団体・関連協力業者等」を動かし、調整するリーダーが必要になってくる。それは小池さんか?都知事という仕事を抱えては無理だろう。オリンピック大臣か?森会長か?いずれもリーダーとして適任ではなさそうだ。


組織委員会会長はお飾りで良い。立場からすれば組織委員会事務総長に適任を得て、権限を与え、指揮をとらせることだ。過去にはロス・オリンピックのピーターユベロス、大阪万博の堺屋太一のような人材がいた。発足時に慣習にとらわれず民間から抜擢する方法もあったが、今の日本では無理だろう。今となっては、関係者が互いの立場を理解して、初心の理念に立ち返り、一丸となって進むしかない。
小池さんも情報公開と予算の圧縮、そのマインドを高めたという功績は遺した。但し、言い出した手前、有明アリーナの建設を中止して、横浜アリーナに移す案にこだわるとするならば、それは問題だろう。進行中のスケジュールを遅らせたという負の実績を残しただけということになりかねない。発想を変えて有明アリーナは終了後、民間利用、あるいは売却なども視野にいれてもよいのでは。

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2016年10月 3日 (月)

3年連続ノーベル賞受賞

◆今年のノーベル賞は生理学・医学賞部門で東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏の受賞が発表された。日本人として大変喜ばしく、若手研究者の励みとなるだろう。実は大隅さん以上に有力視されたのが「新たながん免疫療法の道を開いた」と高く評価された本庶佑ほんじょたすく)京都大名誉教授、同じくがん治療の免疫療法の基礎研究の坂口志文大阪大特任教授も有力視されていた。この他にも水島昇東京大教授、森和利京都大学教授も候補に挙がっており、来年以降の受賞が期待される。

◆明日発表される物理学賞部門では十倉好紀理化学研究所センター長と細野秀雄東京工業大教授、またネオジム磁石を発明した佐川真人大同特殊鋼顧問も有力視されているという。5日発表の化学賞部門ではリチウムイオン電池の発明に関与した東芝リサーチ・コンサルティング水島公一氏、旭化成の吉野彰氏、元ソニーの西美緒氏の受賞が期待されている。また「光触媒」を開発した藤嶋昭東京理科大学長も有力候補とされている。その他にも有機合成の分野では向山光昭東京大学名誉教授、山本尚中部大教授、柴崎正勝微生物化学研究所長、村井真二大阪大名誉教授の名前も挙がっており目白押しだ。

◆一度に皆は無理だろうが、長年に亘る基礎研究が花開くときであり、日本の研究レベルの高さを物語っている。但し、最近では研究者の道へ進む若者が減っているという。20年後、30年後、果たしてどうなっているだろうか。国も長い目で見て、基礎研究に対する支援を増やしていくべきだろう。中国や韓国がノーベル賞の受賞者がでないと焦っているが、最近では米国への留学生が日本を上回り、研究者を増やそうとしている。20年後、30年後はどうなっているか分らない。
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2016年9月15日 (木)

どうなる?豊洲移転問題

◆小池都知事が築地から豊洲市場への移転延期を表明したことを契機に、次から次へと問題が明るみに出て、まるでパンドラの箱を開けたような状態になってきた。どうしてこういうことになってきたのか、小池氏が言うように、その原因・経過を調べ、誰が、いつ、どこで、何を決め、実行してきたのか、徹底的に究明しなければならなくなったのは明らかだ。

◆13日夜のBSフジの「プライムニュース」に石原慎太郎氏が出演していた。テーマとは別に司会者から「豊洲市場の問題」について所感を聞かれた。石原氏が都知事を辞職する年(2012)に土壌汚染対策工事はスタートしている。石原氏は「都の役人達の言葉に騙された。言葉は悪いがメクラ判(工事のGoサイン)を押してしまった。真相を徹底的に究明して欲しい」と述べ、さらに新たなスキャンダルの露呈も示唆した。都知事として全体を管轄する立場にありながら「知らなかった」で済む話ではない。あんたの責任はどうなるのかと言いたいところだが、それはそれとして、今後小池知事がどう対処して行くのかが大きな課題となる。

◆まず第一に、今の豊洲市場の建物を存続したまま、更なる土壌汚染の改善と地下水の汚染対策をとることは可能か?その場合、追加予算措置と期間は?それらをクリアしても、「100%安全宣言」ができるのか?「都」に対する不信感を払拭することは容易ではない。場合によっては「豊洲への移転中止」という決断を迫られるかもしれない。その際豊洲の建物はどうなるのか。利用計画や譲渡が決まらなければ「取り壊し」という事態も想定しなければならない。その損失の費用は?結局都民への税金として跳ね返ってくるだろう。

◆また移転中止になれば、現在の築地市場を継続して使うことになる。移転を前提に計画されていたオリンピック道路を変更して、早急に建設に架からなければならない。決断の時期は迫っている。そもそも築地市場を営業しながら、抜本的な建て替えは不可能だと言う。「雨漏り、錆、不衛生、老朽化」を一時凌ぎで修繕しながら使い続けるしかない。それが何年可能なのか?ところが築地にはあまり知られていない驚くべき問題があった。

◆話は62年前に遡る。1954年3月1日、アメリカはミクロネシア・マーシャル諸島のビキニ島水爆実験を行った。たまたま近くに居合わせた遠洋マグロ漁船「第五福龍丸」は多量の放射性降下物(死の灰)を浴びた。無線長だった久保山さんは半年後に死亡した。当時小学5年だった私はよく覚えている。捕獲した大量のマグロは3/15日築地市場に水揚げされたが、そのマグロから多量の放射能が検出された。都は築地市場の地中に埋めて廃棄することを決定。埋めた地点には後世に伝えるため「原爆マグロ」のプレートが設置された。

◆時代が時代だったから、こんな処置で済んだのかもしれない。今だったらとんでもない問題で、都民は放射能で汚染された土地の上で扱われた魚介類を60年間食べ続けたことになる。築地市場では今でも市場の洗浄のために、周辺の海水を使っているという。「都」は水質検査をしているのか。60年経って何もなかったから「食に対する安全性の規範」が緩んでしまったのか。いずれにしろ、小池知事は「進むも地獄、戻るも地獄」という苦境に立たされる。ここを乗り越えれば将来「英雄たちの選択」に列伝し、名知事として名を残すだろう。

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2016年8月 6日 (土)

リオ・オリンピックは開催したが。

Photo_2◆様々な問題を抱えたまま、南米初のオリンピック「リオデジャネイロ・オリンピック」が本日開会された。日本時間6日午前11:00現在、まだ開会式は続いている。今までの経過を見る限り、本当に開催できるのか半信半疑だったが、どうやら開催には漕ぎつけた。しかし、市民の半数は「オリンピックより我々の暮らしを!」と反対のデモを繰り返す。競技会場の一部や周辺では、未完成の部分もあり工事が継続されている。選手村では早くも水回り・照明器具などの欠陥工事が露呈されているようだ。

Photo◆さらに最も不安視されている警備問題では、安心して外出もままならないらしい。テロリストは隙あらば機を窺っている様子。最大の課題はドーピング問題。開催直前にロシアが長年に亘って国家ぐるみでドーピングをしていたことが判明。WADAはロシアの出場を停止すべきと主張したが、IOCは結局、各世界競技連盟に丸投げした形で決着することになり、依然グレーのままであることに変わりはない。従って、今大会こそ厳密なドーピング検査を行い、厳格に適応して、将来「ドーピングがゼロになったのはリオ大会からからだった」と言われるようになれば、名誉ある遺産として評価されるようになるだろう。

◆都知事選を圧倒的大差で制した「小池新都知事」が、まもなく大会旗引き継ぎのため、リオに向けて出発する。人数・予算とも大幅に縮減しての海外出張となるが、国際派知事としての晴れの舞台となろう。
しかし問題は帰国後に山積している。今までの2020年東京オリンピックに向けての不透明な在り様は、「何のためのオリンピックか」、「何故必要なのか」、そうした一致した共有認識が欠けていたように思う。みんなが同床異夢で、バラバラだったせいではなかったのか。
大会エンブレム問題、国立競技場建設問題で大きく躓き、スケジュールは大幅に遅れ、予算は大きく膨らんでいる。問題の本質は「国、東京都、組織委員会、JOC」を含めた全体像、司令塔から末端まで含めた全体組織図及び役割分担、そして全体を俯瞰し、最初から最後まで一貫して司令塔を補佐する参謀的な人材(大阪万博の堺屋太一のような人材)配すことが必要だ。そうでなくては何か失敗があれば、すぐ責任を転嫁するような組織に陥ってしまう。もうすでにその現象は表れているが。


◆小池知事も、今までの東京オリンピックの進め方にメスを入れて大きく見直すとしているが、経費削減、業者癒着の摘発も大切。しかし「木を見て森を見ず」で、あまり重箱の隅を突いてばかりいては、山全体を見失うことになりかねない。ご本人も言っているように2020年東京オリンピック・パラリンピックが将来の財産として新しい日本のバネとなるよう願ってやまない。

2016年6月22日 (水)

福島原発隠ぺいの責任は誰?

◆福島第一原発事故は、地震当日の2011年3月11日、津波による全電源喪失でメルトダウンが始まっていた。あれから5年3か月余。東電の広瀬現社長が6月21日記者会見し、事故当時の記者会見の際、当時の清水社長が「官邸の主導により炉心溶融(メルトダウン)という言葉は使わないよう」に指示していたとし、「隠ぺい」にあたるとして謝罪した。

◆当時のことを調べてみた。当時の民主党枝野官房長官がテレビの会見で、「チェルノヴイリのような原子炉が爆発するような事態にはならない」と発表しながらも、半径3km圏内の住民に避難指示、10km圏内の住民に対して屋内避難を指示した。3月11日のことである。しかし後に明かされたことだが、1号機の炉心溶融は始まっていた

◆翌12日、1号機の原子炉建屋が水素爆発。これに対して枝野氏は「建屋内にたまった水素が爆発しただけだから、原子炉そのものは冷却を続ける限り大丈夫。但し、念のため避難指示を20km圏内に拡大する」と表明。1号機の建屋が爆発して、蒸気のような白煙を噴出している遠景をテレビが報じた場面を見て大いに驚かされたが、政府談話を信じるしかなかった。この日、原子力安全・保安院の担当審議官が記者会見で炉心溶融の可能性に言及した直後に交代させられたことを殆ど気にすることはなかった。

◆そして、3月15日までの4日間で、水素爆発が3号機、4号機と合わせて3つの建屋で起こり、メルトダウンが3号機、2号機でも発生、計3機の原子炉で炉心溶融を引き起こしてしまった。こうした想定外の甚大な原発事故に官邸東電本社東電福島原子力委員会など混乱の極限に達していた。こうしたなか、14日に行われた東電の武藤副社長による記者会見中に、「炉心溶融」という言葉は使わないよう清水社長から指示があったと言うのだ。東電が炉心溶融を認めたのは5月に入ってからだった。

◆当時の社長は「官邸の主導だった」というが、それが誰だったか明確にしていない。当時の菅総理、枝野官房長官は全面否定。公表が遅れたことについて第三者委員会は菅氏、枝野氏について聞き取り調査をやっていないという。どうやらいろいろと支障が出るからうやむやにしたいらしい。舛添都知事の辞任問題にしてもそうだが、日本は問題をうやむやにするのが常識らしい。

◆仮に当時の民主党政権が情報を正確に伝えることで、国民がパニック状態になるのを恐れて東電に慎重に対応するように要請したとするならば、正直に言えばよい。「あの状態で炉心溶融という言葉を使えば、東京以北が大パニックになって収拾がつかなくなる恐れがあった。従って落ち着くまで公表をしばらく伸ばした。申し訳なかった」といえば、ある程度理解は得られたのではなかったか。参院選を前に「悪質な選挙妨害だ」と剥きになればなるほど、ますます疑いたくなる。

2016年2月23日 (火)

笑える時事ネタ二題

【米大統領予備選】
◆アメリカの次期大統領を決める予備選が今月スタートした。今回は民主・共和両党とも過去に政治経験のない、過激な発言をする二人の異色候補が善戦している。「ひょっとしたら、ひょっとする?」とおかしな空気も。ネバダ州ラスベガスのある会場では、民主党のクリントン候補と最左翼のサンダース候補が同数になった。こういう時に決着をつけるラスベガスらしいルールがあった。なんとカードで決着をつけようというもの。強いカードを引いたほうが勝ちというルールで、クラブのエースを引いたクリントンがハートの6を引いたサンダースに勝ったという。そこで共和党のトランプ候補が言ったとか、言わなかったとか、「やっぱり俺が必要だろう」(笑い)

【インドネシア新幹線のその後】
◆インドネシア政府のジャカルタ~バンドン間約140kmの新幹線設置計画にあたって、日本は現地の地質調査なども行い、具体的な事業提案書を提出した。しかし、インドネシア政府は建設に関わる膨大な費用の政府保証に躊躇し、途中から割り込んできた中国に対して、昨年9月に発注した。中国はインドネシア政府の債務保証を求めず、工期も短縮して、必要な資金も中国が用意するという甘い条件を出したため、十分な精査もせずに飛びついてしまったのだ。日本にとっては、トンビに油揚げをさらわれた形になったが、「そんなうまい話はないよ」というのが率直な感想だった。

◆まさに予感が的中したというか、1月21日ジョコ大統領や中国の国務委員らが出席して、起工式が行われた。ところが1か月経っても建設工事は始まらないばかりか、建築許可の見通しすら見えていないという。2月21日のインドネシアメディアによると、問題山積で中国から未提出の必要書類が多く、一部出された書類は中国語だけの記載が多く、インドネシア語や英語ではないため、差し戻されたものもあった。また、中国の当初提案では、インドネシア政府の債務保証は求めず、一切財政負担をしない実質0円でOKとの内容だったが、今年になってからインドネシア政府の保証を求めてきたという。(政府ぐるみ詐欺集団?)

◆インドネシア政府は建設ルートに活断層が三つあるため、地震対策を求め、早期地震検知警報システムの導入も必須要件としている。さらに用地取得にも難航が予想されており、こうした様々な問題が露出してきたため、暗礁に乗り上げており、計画自体を白紙に戻すべきだという声が強まっている。これに対して、中国側は「作業は順調に進んでいる」と自信を見せているそうだ。中国の常識では約束を反故にすることは常套手段だが、慣れていないインドネシアにはそこまで読めなかったのだろう。

◆ジョコ大統領は面子を保つため関係各方面と協議を行い、どうにか高速鉄道の速やかな着工に向けて工作しているが難航しそうだという。インドネシアの中国に対する不信感は着実に広がっている。逆に日本の南武線に使われた車両がインドネシアで最利用され、大変喜ばれているという映像が流れていた。「♪だから、言ったじゃないの~♪」

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