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ニュース

2019年4月 7日 (日)

新元号「令和」について思うこと

◆新元号「令和」が発表されて1週間が経った。最初に聞いた時、「令」の字に関して「法令、司令、命令、令状」など法的な硬いイメージを連想した。しかし同時に、「令息、令嬢、令室」など人の親族を呼ぶ敬語としても使われているし、出展となった万葉集の一文には「令」には「善(よき)」の意味もあることを知り、違和感は薄らいだ。何より漢籍ではなく、初めて国書から選ばれたことに共感を持った。またレイワという音感にも今までにない新鮮なものを感じた。平成の時も、当初違和感を感じたが、使っているうちに慣れてきた。世論調査でも「令和」に好感を持っていると答えた人が64%、「馴染みにくい」と感じた人が31%だから、あとは慣れの問題だろう。

◆それはさて置き、「令和」フィーバーはここにきて少し収まった感があるが、まだ平成が終わった訳ではない。日本人の変わり身の早さには驚くばかりだ。今回改めて元号について考える機会が与えられたことは大きい。西暦とは別にその国独自の「元号」を保持している国は世界中で日本だけ。しかも1370年以上も継続していること自体、稀有なことであり、日本文化の独自性を表すものと言えよう。確かに西暦は単純な世界共通の表記であり、使用には便利fだ。しかし、「元号」という「天皇制」と一体化した日本独自の文化は貴重なものであり、これからも西暦との併用・共存を図っていくことは成熟した知恵ではなかろうか。

◆国民の多くが新元号に対して好意的であるのに対して、例によって例の如く共産党は「元号は君主が空間だけでなく、時間をも支配するという思想に基づくもの。憲法の国民主権の原則には馴染まない」と非難。社民党は「元号は象徴天皇制に馴染まない。安倍政権の目指す国民への規律や統制の強化が滲み出ている」と、これまた国民の率直な感じ方とはかけ離れている。これに気を良くしたのが韓国。「安倍政権の保守路線の強化を表すもの」などと難クセをつけている。この一事を見ても、共産・社民はどこを見て政治に臨んでいるか分かろうと言うもの。

◆一方中国の反応が面白い。新元号が日本の万葉集を典拠としたことを「脱中国化だ」と評価したが、その万葉集の典拠のもとは「後漢時代の趙衛の詩文集を参考にしたもの」と日本の学者が解説すると、やはり中国の文化の影響下にあるなどと、前言を翻す。これはいかに中国が自国の文化に疎いかを物語っている。中国外務省の報道官は新元号に関して、「日本の内政事情であり、コメントしない」述べた。これがまともな反応と言えよう。問題は4/27日から5/6日までの10連休。国民は喜ぶ人ばかりではない。政府は国民生活の混乱回避を重視すると言うが、果たして、医療や金融機関、保育施設などに支障はでないだろうか。本当に10連休にする必要があるのだろうか。

 

 

2018年5月 7日 (月)

融和のためなら、なんでもありか?

スウェーデンで行われていた卓球の世界選手権で、日本女子チームは準決勝で北朝鮮または韓国の勝者と対戦することになっていた。ところが急に南と北が対戦を取りやめ、合同チーム「コリア」を結成した。スポーツの世界では公平な状況でしのぎを削ってこそ、競技は成り立つ。会場に日本チームと合同チームが入場した後に「合同チーム結成」のアナウンスがあったと言う。
           ◇         ◇         ◇
これには対戦相手(日本)は勿論だが、試合を楽しみにしていた観客にとっても面食らう事態となった。公平を期したルールであるはずなのに、韓国と北朝鮮は南北融和を優先して対戦は行わず、体力を温存して準決勝に駒を進めた。結果、日本は南北合計10人の中から選ばれた最強選手3人と戦うことになった。しかし、結果的に近年実力を高めた日本女子は、伊藤、石川、平野の活躍で、3-0で勝利。決勝へ進出したが、宿敵中国には3-1で敗戦。前回に続き銀メダル獲得となった。合同チーム「コリア」は10名が銅メダルだって。
           ◇         ◇         ◇
日本選手の活躍には大いに拍手を送りたいところだが、どうも釈然としない。大会が始まる前に合同チームで参加するという事前表明があれば、納得できる。しかし今回の異例の対応が「友好のためにはお咎めなし」として黙認されるのであれば、例えば今後、南北が別々に参加する団体競技において、競技が始まってから、チームの調子を見て、「この種目は有望だから『合同チーム』を結成しよう」とする悪しき前例にならないだろうか。「融和のためだから、いいだろう」なんて恣意的な運営が罷り通ることになりかねない
           ◇         ◇         ◇
平昌オリンピックから始まった「南北融和・平和友好」ムードは「錦の御旗」なんだろうか。平和・友好に名を借りたスポーツの政治利用と言えなくもない。というのも過去何度となく、金大中、盧武鉉の時代に北との政治的融和ムードを作り、緊張緩和が実現したが、長続きしなかった。体制の相違、思惑の相違、結局スポーツの融和はそれらに翻弄されてきた。そうした歴史の繰り返しがあったからこそ、今回の南北融和も俄かには信じがたい
           ◇         ◇         ◇
国連の一致した制裁が功を奏したのか、北朝鮮に大きな変化をもたらし、朝鮮半島が俄かに融和ムードを演じている。南北首脳会談を皮切りに6か国の首脳が、個別にまたは複数で、朝鮮半島の非核化を巡り、自国の利益第一に虚々実々の駆け引きを行う。まずは朝鮮戦争終結の宣言、平和協定の締結、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化、在韓米軍撤退を巡る北・韓・米のさや当て、拉致問題の解決・・・・いずれも難問ばかり。
そんな中、国際的制裁の継続を主張する日本を名指しで、口汚く罵っているが、こんな言葉を聞いている限りは、どこが融和的になったのか、やっぱり本質は変わっていないと思わざるを得ない。こんな情勢にあって、トランプ大統領と金正恩、それに文在寅が今年のノーベル平和賞の第一候補に上がったというが、マジだとすれば噴飯ものだ

2018年3月31日 (土)

東京一極集中が日本を滅ぼす!?

◆今朝の新聞が、27年後の2045年には、総人口は1億642万人(2015年比2000万人減)と予測し、65歳以上の高齢者が全人口の36.8%を占めると報じていた。このこと自体、いろんな報道で見聞きしたことで、さほど驚くには当たらない。問題は東京を除く全道府県で人口減となり、全国平均で16.3%の減、最も減少率が高い秋田県で-41.2%、ついで青森県-37.0%、山形、高知県で31.6%と続く。増加するのは東京都だけで+0.7%、以下沖縄県-0.4%、愛知県-7.8%、神奈川県-8.9%、埼玉県-10.2%となり、東北地方の大幅減が目立つ。一方、東京近県の減少率は比較的低く、要すれば東京一極集中が、今より際立って顕著になると予想しているのだ。

◆このことは日本全体にとって果たしてよいことなのか。地方の人口が減り、高齢化が進むということは、活力が失われ、日本全体の地盤沈下が進み、東京だけが突出して過密化が進むことを意味する。教育、就職、生活・福祉などの環境が充実すればするほど、地方の若者は東京を目指す傾向がますます強くなる。これが果たして日本人にとって幸せなことに繋がるのだろうか。
日本の国土は南北に長い。自然にも恵まれている。地方の風土に合った歴史と文化を育んできて、今の日本がある。大震災、津波、大型台風、高潮、富士山爆発など大災害が起こったときに、一極集中していればいるほど、被害は甚大で復旧復興が困難になる。それが分っていても対処的な対策だけで、抜本的な対策を講じようとはしない。


◆地方、なかでも離島、沿岸部は警備が手薄になり、中国・朝鮮半島、ロシアなどの領土領海侵犯に対する沿岸防備も地方の衰退・人口減のもとでは心もとない。40年、50年先の日本を見据え、抜本的な対策を講じなければこのままではいびつな不健康な国になってしまうだろう。このためには過疎対策だけではなく、日本の将来像を見つめ、均衡ある発展のために道州制も視野に入れて、最高の叡知を結集し、強力な権限をそのPTに与えることだ。明治は45年かけて大変革を成し遂げた。

◆ハイテク、AI情報化が進んだ今、何も東京一極集中である必要はない。企業の本社機能も、大学・研究機関も、放送局のキー局も、首都機能(国会、官僚機構)さえも、あるいは遷都も含めて、将来像を描くことだ。日本はそろそろ制度疲労脳軟化症に陥っている。今、何か抜本的な手を打たないと、このまま東京一極集中で肥大化が進むと、日本は滅ぶだろう。もっともそのときには自分はこの世にはいないことは確かだ。
(2018年エイプリルフールの前日に)

2018年3月27日 (火)

佐川氏証人喚問に思うこと

◆「森友学園」問題で、佐川宜寿・前国税庁長官の国会証人喚問は、3/27日衆参予算委員会で国民注視の中、計4時間に亘って開かれた。
決裁文書の改ざんについては総理や麻生財務大臣、官邸の関与等は強く否定され、当時の理財局内でやったもので、その責任は全てトップであった自分にあると深く陳謝した。一方、国有地売却の経緯、政治家の関与等については、「刑事訴追の恐れがあるので、答弁を差し控えたい」の一点張りで押し通した。


◆これは全く想定内のことであり、野党がいくら非難してしてみても、国民が納得できなくても、ある意味限界を示したものだ。そもそも野党が寄ってたかって、真相究明だと意気込んでも、過去の例を見るまでもなく、野党に限らず国会議員にその能力があるとは甚だ疑問であるからだ。野党は終了後、時間が足りなかったと嘆く。最も長い民進党でも20数分、加えて野党の数が多いから参院で8会派、衆院で7会派の論客(?)が最低一人6分ほどの質問時間で、入れ替わり立ち代わり、質問席に立つ。

◆質問時間の不足を嘆く前に、何故そうなるのか考えているのだろうか。野党が合同で、質問者の代表を一人か、二人に絞り、集中して質問すれば時間不足を嘆くことにはならない。ところが野党は例え数人の会派であっても、喚問の場は「自分たちの存在を示す場、自党の絶好のPRの場、手柄を発揮する場」とまさに政治ショー化が見え見えだからだ。従って例え質問時間が短くなっても、他党にその時間を譲るなどという寛大なことは逆立ちしても出来はしない。質問時間が短いことはもとを糺せば、野党が分裂に分裂を重ね、細分化したことにあることを自覚しているだろうか。

◆そもそも、不正や、法律違反の疑義ある問題が発生した場合、国会議員自ら真相究明にあたり、長時間を費やして、国会の本来の機能に支障を来たすようなことがあってよいのだろうか。問題点を取り上げるまでは国会のひとつの機能として否定されるものではないが、より踏み込んだ究明は専門家である司直の手に委ねるべきではなかろうか。犯罪にまでには至らぬが、グレーゾーンである案件の場合、調査能力のある専門家を各党が選び、第三者委員会を編成、国政調査権を付与して、「刑事訴追の恐れがあるから答弁を控える」などと拒否するような答弁ができないような体制を作るべきだろう。それにしても日本の政治のお粗末さは何とかならないものか。

2017年12月28日 (木)

2017年末、気になる話題あれこれ(3)

(5)新幹線あわや大惨事
◆JR西日本が管理・運営する新幹線、博多発東京行き「のぞみ34号」の台車で亀裂が見つかり、運輸安全委員会が新幹線で初の重大インシデントと認定した問題はあと、3センチで断裂、脱線、転覆の危機があった。もう少しで、新幹線史上初の大惨事に発展、数百人が死亡する恐れもあったという。仮に事故が発生していれば、日本は世界の注目を集め、それまで築いた信頼は地に堕ち、経済的な損失は計り知れなかったであろうと言われる。国土交通省は事故の重大性を認識したうえで、今後センサーを使って亀裂を探すなど、台車の検査方法の見直しを進める考えを明らかにした。


◆しかし、それ以前にJR西日本の社内体質の問題が浮かび上がってくる。12年前に起きたJR福知山線尼崎駅近くの列車脱線事故(死者107名、負傷者562名)の教訓はすっかり忘れてしまったのか。今回の新幹線事故もそうだが、現場の意見と司令部の意見の食い違い、社内規律、組織の在り方、効率優先の運用の在り方、老朽化したインフラの数々・・今、日本全体が劣化していることに対して、警鐘を鳴らしているのではなかろうか。(終わり)

今年も残り少なくなりました。本年もいろいろなニュースがありましたが、来年は平成最後の年に繋がる年でもあります。お互いに良い年でありたいものですね。来年もよろしくお願い致します。

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2017年末、気になる話題あれこれ(2)

(3)広辞苑表記、台湾が抗議
◆累計発行部数1100万部を誇り、日本を代表する国語辞書「広辞苑」(岩波書店)は中華人民共和国(中国)の項目で、台湾を中国の一部の「台湾省」として紹介。台湾の外交部は猛反発して、「中華民国台湾は主権独立国家であり、絶対に中華人民共和国の一つの省ではない。直ちに訂正すべきだ」と抗議した。日本は1972年の中国との国交樹立の際、共同声明で「中国の唯一の合法政府」と認める一方、台湾については「中国の一部とする」中国の立場を理解し、尊重するとの見解を示している。
◆中国との国交樹立から45年。当時ゼロから際スタートした台湾との交流は経済面・観光面等の結びつきは強くなり、親日家は多い。価値観においては中国より台湾の方がより日本に近い。岩波は杓子定規の解釈をそのまま継続しているが、「誤りではない」という見解を発表している。しかし、一民間の出版社であるのだから、両方の実態と見解をありのままに表記すればよいのではないか。


(4)韓国29人死亡火災、「セウォル号」事故の陸上版か。
◆韓国中部のスポーツセンターで起きた火災事故は死者29人を出し、旅客船「セウォル号」沈没事件を彷彿させる大惨事となった。この事件は防災上「こうすれば、間違いなく被害が拡大する」ということを教える反面教師のようだ。
サウナの出入り口の自動扉は非常の際、手動で開けることができたか。死者29人のうち20人は出火元に近い2階の女性サウナで死亡した。火災当時、内部からドアを叩いて助けを求める叫び声が上がっていたという。
非常口に向かう通路に荷物が置かれ、避難を困難にした。
建物周辺の路上駐車が多く、消火作業が遅れた。
外壁に使われた断熱材料が燃えやすい材料で、有毒ガスを発生させた。
外からの鎮火や救出活動の妨げになる構造上の問題があった。
日本でも新宿等の繁華街で似たような火災事故が何度かあったが、「以て他山の石」とすべく教訓として生かさなければならない。
(続く)

2017年12月26日 (火)

2017年末、気になる話題あれこれ(1)

2017年も年の瀬になり、ここに来て気になる話題がいくつか入ってきた。

(1)中国、韓国に報復か?団体旅行再禁止。
◆中国は在韓米軍に配備されたミサイル防衛システム(THAAD)について、韓国に撤去を求めていたが思う通りに運ばないので、3月に経済的な「報復措置」として韓国への団体旅行を規制していた。韓国への渡航は昨年の806万人から今年は400万人へ半減する見込みだという。しかし今月の文在寅大統領の訪中を前に、儀礼的な意味で北京と山東省の旅行代理店に限って、販売を許可していた。


◆会談ではサードの撤去の進展は見られないため、文氏の帰国後は韓国への団体旅行を再び全面禁止するというあまりにも露骨な「報復措置」を講じた。中国政府は「中国の民間がやっているもの」と関与を否定、「文大統領の訪中は成功した」と嘯いている。これに対し韓国では「観光客を外交上の武器に使うのは世界で中国だけだ」と怒りの声が上がっているという。どっちもどっちだという感じだが、何かあったら反日デモ、不買運動などで騒ぐ韓国。自分のことは棚にあげて、何をか言わんやだ。

2)タイで中国人観光客がゾウにいたずら?死傷者発生
◆タイ国内のゾウの観光施設で、10数人の中国人観光客が1頭の雄ゾウ(17歳)を取り囲んで騒いでいた。警備員はゾウを刺激しないように注意していたが、中には尻尾を引っ張ったりした人もいたという。ゾウは「とうとう起こったゾウ!」とばかり興奮して、突然暴れ出し、背中に乗せた客二人を振り落として負傷させた。そして園内を走り回って、観光ガイドの中国人男性が頭を蹴られて死亡したという。このニュースを読んで不謹慎ながら思わず笑ってしまった。中国人観光客のマナーの悪さは今に始まったことではないが、持って生まれた特性というものは簡単には変わらないという話題。
(続く)

 

2017年12月 9日 (土)

無人島の防衛を考える

◆先月1日から昨日までの40日ほどの間に日本海沿岸に漂着した北朝鮮の木造船は47件を数え、40人余の生存者、20余の遺体、難破して破壊された船体の残骸などで、地元漁民、自治体はおろか、日本自体が大変な迷惑を被っている。なかでも北海道「松前小島」に漂着した木造船は10人の乗組員を乗せ、地元漁民の番屋に侵入し、数日間寝泊まりして、生活物資から家電、発電機、燃料など根こそぎ持ち出すなど、まるで大型台風に襲われたかのような被害をもたらした。被害総額は1000万円に及ぶと言う。

◆逃げ出そうとしたところを、日本の巡視船に捕まり、取り調べのため数日間舷側に横付けされていたが、勝手にロープを切断して、再度逃げ出したところを今度は強制逮捕3人、連行6人、(1人は入院済み)と日本も業を煮やしたように強行態度に出た。この木造船の正体は抵抗する態度から、尋常ならざるものと推定されたが、確かに「朝鮮人民軍第854軍部隊」の工作船と判明した。

◆助けてもらって感謝するどころか、日本の常識的な取り調べ態度を弱腰と見ているのか、北の「核・ミサイル」の強硬姿勢に日本が恐れをなしていると甘く見ているのか、彼らの強気な姿勢はまさに「盗人猛々しい」とはこのこと。世が世であれば市中引き回しの上、打ち首獄門といったところだが、現代の法律では人権尊重の観点から裁きに時間が掛かるため、まどろっこしい、「隔靴掻痒」の感がある。

◆ところで、日本には6800余の島があり、うち無人島の総数は6400余ほどあるそうだ。これらの無人島で重要な意味を持つ島は尖閣諸島など国境に位置する島や、福岡県の沖ノ島のように神域として管理されている島などがあるが、今回の「松前小島」のようにある特定のシーズンだけ、仕事場として住居としての役目を持つ島が、近隣諸国の格好の餌になることをこの事件は教えてくれた。今後北朝鮮の崩壊が予想される中、多数の難民や難民に紛れた工作員、人民軍兵が襲来することを想定しなければならない。

◆現在離島の防衛・警護は海上保安庁や各県警の水上警察が当たっているが、守るべき海岸線、領土・領海はあまりに広く、人手は全く足りない。こうした近隣諸国のあらゆる事態を想定して法整備はもちろん、船舶、装備、人員の増強を早急に図らなければならない。日本は幕末に、異国船の来襲に備えて沿岸防備、装備の精鋭化、人員の育成に真剣に取り組んだ。今まさにその時の教訓に学ぶ時ではなかろうか。

2017年11月26日 (日)

東京オリンピック開催に黄信号

◆2020年東京オリンピック開催まで残り971日となった。これまで日本は国家的大きなプロジェクトは国家の威信にかけて幾度も成功させてきたが、今度ばかりは必ずしも万全とは言えないようだ。希望の党代表を辞任した小池百合子東京都知事が国政進出を目論んでいた間に、築地市場の豊洲移転をめぐる問題はより複雑化し、東京五輪の計画さえ危うくする事態に陥っているという。

【豊洲でゼネコンが受注拒否の衝撃】
11/13日の日経新聞が報じるところよれば、豊洲市場の土壌汚染対策に関する追加工事で、9件ある工事の入札のうち、落札したのは2件にとどまり、7件が不調や中止になっているという。追加工事は豊洲移転の前提であるため、入札不調で工事が遅れれば、来年10月で調整している移転日程がずれ込む可能性が高まった


◆何故不調に終わっているのだろうか。ある都のOBは「どうやらゼネコン側の意向は政治的にも、技術的にもリスクが大きすぎる。ゼネコンにすれば、とにかく最後まで逃げ回りたいということだろう」と推測する。というのも、もし追加工事をやり遂げても、再び地下水が出てきたり、地下水や空気中から多量の汚染物質が検出される可能性は高い。ゼネコン業界では、豊洲市場の地下構造上、例え追加工事をしても、それら汚染物質の発生は防ぎきれないという声が出ているという。(但し、市場の運営にあたり地下水を利用しない限り、安全であるという評価は専門家の間で出ている。)

◆小池百合子知事は大規模な工事では「一者入札」を原則として認めない新ルールを6月に導入した。入札制度の透明性を高めるのが狙いだが、9件ある追加工事のうちすでに4件は新ルールに抵触し、入札の前段階の手続きが一時的に中断。今回残りの5件についても大半が入札不調に終わったことで影響がさらに広がりそうだという。従来通り主落札者の付帯工事として、新たな契約を進めれば大きな混乱はなかったようだ。

◆都の計画では、豊洲の移転後に築地市場を解体。この跡地に五輪開催中の選手や関係者を輸送する車両の駐車場の役割を果たす「デポ」を設置する計画となっている。さらにはその跡地の地上部分に輸送道路を新設する計画が進行中だ。デポ設置のためには、豊洲市場の追加工事を来年7月に完成→9月に小池知事による安全宣言」→10月に豊洲市場が開場、との既定路線が完遂されなければ間に合わない。しかし、9月以降の入札不調によって、豊洲の工事が予定通り完了する可能性は難しくなった。もし工事が完了したとしても、地下水や汚染物質を抑えられるかどうかは不透明だと言う。この場合小池知事の都民に対する説明・説得が欠かせないが、果たして?

◆築地を予定通りに解体できなければ、大会期間中(前後やパラ五輪も含め)の選手や関係者の輸送という重要な課題に支障を来たすことになる。まさに豊洲追加工事の遅れがドミノ倒しのように、五輪の計画を崩壊させてしまいかねないと言うのだ。仮にそういうことになれば日本への信頼は一気に地に堕ち、恥を晒すことになる。日本人はいざとなれば一致団結して事に臨んで解決してきた。だが、近年様々な分野で無責任な風潮が現れ始めている。2020東京オリンピックも、なんとか困難を克服してやってくれるものと信じたいが、あまり楽観的予測は禁物のようだ。

2017年8月11日 (金)

「核兵器禁止条約」に思うこと

◆被爆72年目を迎えた8月9日、「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が行われた。一連の進行の中で、老若4人による「献水」の儀式の際、中学3年の時の同級生が登場したのは驚きだった。齢を重ね見事に老成しているものの、若き日の面影を残していたことが嬉しかった。さて今年の式典で、田上長崎市長の「長崎平和宣言」は例年にも増し、厳しかった。先月7日、国連で採択された「核兵器禁止条約」について、その大部分を割き、柔らかい口調ながら、日本が同条約に未だ参加しないことの非を訴え、ついには「総理、あなたはいったいどこの国の総理なのか」と問う場面もあった。

◆「核兵器禁止条約」とは、核兵器の全廃と根絶を目的として起草された国際条約で、正確には「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止並びにその廃絶に関する条約」の事である。2017年7月7日に122か国・地域の賛成多数により採択された(*)が、米英仏中露などすべての核保有国が参加せず、アメリカの核の傘の下にあるカナダやドイツなどNATO加盟国や日本、オーストラリア、韓国など核抑止力に依存する国も殆ど参加しなかった。
(*)この交渉会議には国連加盟国193か国が出席。投票の結果122か国が賛成した。NATOに加わるオランダが反対。シンガポールは棄権した。

◆日米安保条約に依拠する日本は、従来からこの条約の批准に応じていない。政府は3月の交渉会議で「北朝鮮の脅威といった現実の安全保障問題の解決に結びつくとは思えない」と表明し、5核保有国などと歩調を合わせてボイコットした。米国の「核抑止力」を国家安全保障の柱に据える国々は、近い将来の条約加盟が見通せない状況だという。
被爆者や核廃絶を目指す非政府組織(NGO)からは「条約に加盟して、唯一の戦争被爆国として核廃絶を目指す役割を果たすべきだ」という批判の声が上がっている。しかし、核保有国が加盟しない条約では何ら実効性が伴う訳でもなく、条約に賛成することによって日米の亀裂と、安全保障上の不安をどのように払拭するのか、難しい選択を迫られる。


◆確かに唯一の被爆国日本が「核兵器禁止条約」に参加しないということは、いかにも説得力を持たない。口先だけの平和外交と言われても仕方がないだろう。どうせ実効力を伴わない条約であるならば、馬鹿正直に現状を追認するだけでなく、米国に根回しした上で、「核兵器禁止条約」の賛成に回ったらどうだろうか。多くの賛成国のリーダー的立場となり、平和を主導する役割を演じることになる。アメリカが日米安保の破棄を求めるならば、その時は彼ら多くの賛成国の声をバックに平和外交を貫く時がやってくる。それが外交というものだ。但し、中国の圧力と北朝鮮の核の脅威は高くなることを覚悟の上での話だが

Photo 
長崎平和記念像 (昭和30年8月8日完成、筆者が小学6年の時)

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