菅総理の功績と菅後の日本の政治(7)
6. 重要土地規制法案の成立(スパイ防止法案)
◆今年6月、「重要土地利用規制法」が国会で成立した。この法案はかなり以前から懸案されていた問題で、自衛隊の基地、原発など日本の安全保障上、重要な地域での土地利用を規制する法律だ。これ以外にも自衛隊・民間が共用している空港、国境その他離島等約600か所が含まれている。施設の周囲約1km内や国境近くの離島を「注視区域」に定めて、区域内で電波を妨害したり、ライフラインを寸断したりといった日本の安保を脅かす土地利用者に対して、中止を勧告・命令できるというもの。いわゆる「スパイ防止法」的な性質を持つ。
◆司令部といった機密情報が集まる拠点の周辺などは「特別注視区域」とみなし、土地売買に事前の届け出を義務付ける。外国資本(中国・韓国を意識か)不適切な目的で日本の土地を取得し、利用するリスクを減らす狙いがある。これは高市早苗議員がいち早くこの問題の重要性を認識し、20年以上前から議員立法で働きかけていたもの。野党などの横やりもあって、やや不十分なところもあるが、とりあえず第一歩を踏み出したという点で、菅内閣の功績のひとつと言っていいのではないか。
7. 福島原発の処理水海洋放出への道筋
◆福島第一原発の構内に設置された汚染水除去後の処理水問題。現在約137万トンにも上り、さらに日々増え続けている。保管するタンクは約1000基にもなり、限界に近づいている。「これをどう処理するか」は復興を見据え、避けて通れない問題だ。この問題に対して菅内閣・東電は一定の方向を出した。第一原発から沖合約1kmの海底にトンネルを設置し、海水で薄めた後にこのトンネルを使って排水するというもの。いろいろ批判はあるが、誰かがこの難題に手を付けなければならない。菅さんが一定の方向を出したことは評価されていいだろう。
◆この問題進めていく上で絶対に欠かせないのが、IAEA(国際原子力機関)との連携だ。IAEAは事前調査のため、9月6日来日。12月をめどに調査団を日本に派遣する予定で、現地調査のほか、国や東京電力に聞き取りを行い、放出する処理水の分析や海に流す計画の妥当性、環境への影響などを検証し、報告書をまとめる方針。これを踏まえ、国は2年後に海に流す方針だ。
ここで問題なのは風評被害を懸念する地元の声をよく受け止め、地元の理解と協力を求める真摯な政府の姿勢だろう。国民も地元の立場よく理解し、「風評を起さない、許さない」という言動をとることが求められる。(続く)
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