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2021年9月

2021年9月21日 (火)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(最終回)

8.外交問題に関する功罪

◆菅さんは外交分野は不得手の方だろうが、基本的には安倍さんが築いた外交路線を引き継ぐことで、大きな失策をすることなくこなしてきたと言えるだろう。まず、日米豪印クワッドの推進、自由で開かれたインド太平洋地域の構築、所謂対中包囲網の推進で、日米首脳会談における中国脅威論の中で台湾を明示したことは画期的であった。対韓国との慰安婦問題、所謂徴用工問題では膠着状態が続いているが、妥協することなく毅然とした態度をとり続けてきたことは評価できる。ただ、北朝鮮との間の拉致問題は全く進展を見せず、忸怩たる思いであっただろうが、次期政権に委ねるしかない。

◆菅総理は2020年10月に、「2050カーボンニュートラル」を目指すと宣言。世界先進国の見えない圧力もあって、宣言せざるを得ない状況にあったとは言え、並大抵の努力では実現できない。太陽光、風力などの自然エネルギーでは不利な状況にある我が国土にあって、電力供給構造の転換は厳しい状況にあり、大胆な投資によるイノベーションの創出と言った取組みを、強力に加速することが必要で、今後の政権への大きな課題となって残る。

◆アフガニスタンからの邦人避難救助は先進各国と比較しても後塵を拝する形となった。「国民の命と財産を守り抜くのが国家の基本的役割」とするならば、平時の外交において、緊急時の対応策(自衛隊出動も含めて)を講じておくことは国家基本戦略上、必須条件である。安全保障・インテリジェンス部門で法体制の整備と外交・防衛一体となった不断の努力が求められる。

【おわりに】
★1年という短期間に終わった菅政権の実績とその功罪について縷々述べてきたが、国内問題ではその他にも多くの実績と課題を残した。まず就任早々公約した「携帯電話料金値下げ」があったが、2021年には大手通信キャリアの値下げ料金プランが出揃った。次いで「不妊治療の保険適用」を公約した。この課題も2021年1月から現行の助成制度を拡充し、2022年4月の保険適用開始を目指す。
★また「電波オークション制度の一部導入」について、電波・放送行政の透明性や公平性を確保しながら、電波の有効利用を強力に推進するとし、電波オークション制度の導入を含めて、新たな周波数割り当ての在り方を検討する方向を示した。このように短期間の中で目一杯仕事をしてきたはずだが、一般にはあまり評価されていない。しかし、皮肉なことに辞任を表明した後に、次期総裁選候補らの選挙運動の中で、菅総理の支持率が10%もあがった。
★安倍・菅路線の跡を引き継ぎ、明確に旗幟を鮮明にしているのが高市候補である。理念・政策を通して目指すところが見えてきた。ひょっとすると日本のサッチャーになる可能性を秘めている。しかし、日本のメディアは冷ややかだ。最も人気があり、総裁選のトップを走る河野氏だが、一般大衆に迎合したポピュリズム政権で、衆院選の顔としてはいいかもしれないが、所謂リベラル的左傾の小石河政権では対韓、対中政策で、現実とのギャップで大きくブレるだろう。参院選までもつかどうか・・(本稿終り)

 

2021年9月20日 (月)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(7)

6. 重要土地規制法案の成立(スパイ防止法案)

◆今年6月、「重要土地利用規制法」が国会で成立した。この法案はかなり以前から懸案されていた問題で、自衛隊の基地、原発など日本の安全保障上、重要な地域での土地利用を規制する法律だ。これ以外にも自衛隊・民間が共用している空港、国境その他離島等約600か所が含まれている。施設の周囲約1km内や国境近くの離島を「注視区域」に定めて、区域内で電波を妨害したり、ライフラインを寸断したりといった日本の安保を脅かす土地利用者に対して、中止を勧告・命令できるというもの。いわゆる「スパイ防止法」的な性質を持つ。

◆司令部といった機密情報が集まる拠点の周辺などは「特別注視区域」とみなし、土地売買に事前の届け出を義務付ける。外国資本(中国・韓国を意識か)不適切な目的で日本の土地を取得し、利用するリスクを減らす狙いがある。これは高市早苗議員がいち早くこの問題の重要性を認識し、20年以上前から議員立法で働きかけていたもの。野党などの横やりもあって、やや不十分なところもあるが、とりあえず第一歩を踏み出したという点で、菅内閣の功績のひとつと言っていいのではないか。

7. 福島原発の処理水海洋放出への道筋

◆福島第一原発の構内に設置された汚染水除去後の処理水問題。現在約137万トンにも上り、さらに日々増え続けている。保管するタンクは約1000基にもなり、限界に近づいている。「これをどう処理するか」は復興を見据え、避けて通れない問題だ。この問題に対して菅内閣・東電は一定の方向を出した。第一原発から沖合約1kmの海底にトンネルを設置し、海水で薄めた後にこのトンネルを使って排水するというもの。いろいろ批判はあるが、誰かがこの難題に手を付けなければならない。菅さんが一定の方向を出したことは評価されていいだろう。

◆この問題進めていく上で絶対に欠かせないのが、IAEA(国際原子力機関)との連携だ。IAEAは事前調査のため、9月6日来日。12月をめどに調査団を日本に派遣する予定で、現地調査のほか、国や東京電力に聞き取りを行い、放出する処理水の分析や海に流す計画の妥当性、環境への影響などを検証し、報告書をまとめる方針。これを踏まえ、国は2年後に海に流す方針だ。
ここで問題なのは風評被害を懸念する地元の声をよく受け止め、地元の理解と協力を求める真摯な政府の姿勢だろう。国民も地元の立場よく理解し、「風評を起さない、許さない」という言動をとることが求められる。(続く)


 

2021年9月18日 (土)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(6)

4.日本学術会議の任命拒否問題

◆菅総理は就任後まもなく(2020年9月)、日本学術会議が推薦した105人の会員候補のうち6人を任命拒否した。2004年以降、日本学術会議が推薦した候補を政府が任命しなかったのは初めての事だった。このことで野党やメディアが騒ぎ、「日本学術会議とは?その役割、在り方、予算」などについて、問題点を国民の前に曝け出してくれた。

◆彼らは「学術会議が推薦した会員を任命しないのは前例に反する。理由を説明せよ」と迫った。そもそも、拒否された6名は安全保障関連法や特定秘密保護法、普天間基地移設問題などで、政府の方針に異論を唱えてきた学者たちであったが、ある意味、任命拒否は勇気のいる言動だった。予想される反動を思えば、従前通り踏襲する方が波風はたたない。それをずーっと続けてきたのが自民党政権だったのだ。

◆菅総理は「任命拒否の理由」など、口が裂けても言えるはずがない。真の理由を言えば、「思想信条の自由に抵触する」と大炎上は必定、一発で終わりとなる。既得権益を享受して、変革を嫌う学術会議側はこれを逆手にとって攻め立てた。「学問の自由の侵害だ」を持ち出す学者もいたが、これは無理がある。任命の可否と学問の自由は無関係だ。こうした過程の中で、国民は「文系に偏った左翼的学者たちのエゴでもあることに気が付いた。

◆ある技術開発の研究が軍備の増強に繋がるなどととんでもない理屈をこねて、研究を中止させた例も明るみになった。「学術会議」は内閣府の特別機関に位置づけられ、国費が年間約10億円も投じられていることを国民は知った。であるならば、当然ながら国益に叶う活動が求められる。国から完全な独立を求めるならば、民間のアカデミックな団体に移行して、フリーな立場になればよい。

◆その形をシュミレーションしたようだが、まだ宙ブラリンとなっている。また、任命拒否された6人の立場も棚上げされたままだという。菅さんはこの問題の決着をつける前に辞任することになったが、任命拒否が問題ではなく、そのやり方に問題があったようだ。相手の顔を立てて、外堀を埋め、旨く根回しして「人事の在り方」を変えていくという方策がとれなかったか、菅後を引き継ぐトップに残された課題となった。

2021年9月17日 (金)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(5)

3.デジタル庁新設の功績

◆昨年9月16日に発足した菅内閣は、国全体のデジタル化を看板政策に掲げた。その司令塔になるデジタル庁を1年も経たない今年9月1日に発足させた。こうした新組織は検討開始してから設置まで、通常1年以上かかるのが常識だ。問題は今後の改革の中身だが、日本は早くから機械化を取り入れたが、いまや中国、韓国にも後れをとり、周回遅れに成り下がっている。なぜだろうか。

◆アナログからデジタル化に移行するに当たり、全体像を見て将来のあるべき姿を描いて、統一的に推進すべきであった。ところが個人の権利、自由を盾に「権力側に悪用される恐れあり」などと消極的、反対意見が根強く、それらのマインドが大きく改革を遅らせてきた。企業は企業で独自に社員ナンバーを付与し、デジタル化を進めているが、この場合個人のプライバシーは所属する企業の規則と信頼関係において、個人情報を委ねているのだ。ところが「国」となると、途端に拒否反応が出てくる。そうした状況にあって、国、省庁、自治体、企業が横の関連なくバラバラに開発を進めてきた結果、今のような周回遅れの状態になっていると言えよう。

◆「マイナンバー制度」が良い例である。2015年10月に導入、国民の全てに番号を通知し、翌2016年1月から「マイナンバー制度」がスタート。同時に希望者に「マイナンバーカード」の交付が始まった。将来的にこの制度を有効に活用させるため、自分は2017年7月に申請して、カードを取得した。この時点では普及度は20%くらいだったか。

◆丁度良いチャンス到来した。コロナ危機で、昨年一人10万円の特別定額給付金が配布されることになった。このカードに本人の取引銀行がひも付きとなっていれば、何も面倒くさい紙ベースや、ネットの入力を要することもなく、瞬時に入金になっていたのだ。ここまで一気には無理としても、「カードを持っている人を優先します」とでもPRすれば少しは普及が進んだか。納税の時はマイナンバー記入が必須となっている。国は徴収するときはマイナンバーを積極的に活用するが、給付の時には活用に消極的だ。これらの事務処理はデジタル化で大きく効率化が図られ、国民も便利さを享受し、職員も楽になるはずだ。

◆ワクチン接種にも活用される余地があるはずだが、接種券とマイナンバーに関連性があるのかないのかよく分からない。とにかくマイナンバーの所管が総務省や内閣府からデジタル庁へ一元的に体制を移行し、来年末には全国民にマイナンバーカードが行き渡る見込みだという。しかしやることが今までのような中途半端なやり方だったら旨く行かないだろう。近々健康保険証や運転免許証に変わり得るものとして、マイナンバーカードを利用しようとする計画が進んでいるらしい。いずれにしろ菅内閣が、遅ればせながらデジタル庁を設置して、一歩進めたことは大きな功績となろう。(続く)

 

2021年9月14日 (火)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(4)

2.コロナ禍での東京オリンピックとパラリンピック開催の決断(下)
(前稿の続き)
◆東京オリパラがいざ始まってしまうと、日本選手団の活躍やスポーツの面白さがTVを通してリアルに伝わり、コロナで鬱積した気分を吹き飛ばしてくれた。あれだけ批判的だったテレビが手の平を返したかのように、熱心に伝え始めた。(予想通りではあったが)
またパラリンピックの活躍も感動を与え、競技の面白さに惹きつけられた人も多かったのではないか。これらの内容にここで触れるのは趣旨ではないが、獲得したメダルの数がその内容を雄弁に物語っていると言えよう。
・オリンピック :金27、銀14,銅17 計58個 金の数では3位、 総計では15位
・パラリンピック:金13,銀15、銅23 計51個 金の数では11位、総計でも11位
想定以上の好成績だろう。選手たちの活躍に元気をもらったお礼を送りたい。

◆世界最大のスポーツイベントの成功はコロナと戦いつつ、 社会の営みを継続できることを証明し、コロナ克服への一里塚となった。この評価は国内よりも海外からのメッセージが多く寄せられた。AP通信は「コロナ禍の中の大会開催は注目すべき偉業」と伝え、ドイツの有力紙は「大会が中止されていれば多くの選手が五輪出場の機会を失い、災難となっていた」と評した。オーストラリアの有力紙は「選手らが国の垣根を超えてお互いを助け、声援を送り合っていた」と紹介し、「メダルの数を超えた成果だ」と論じた。ブラジルの有力紙も東京大会を「スポーツの力を祝福し、東京でなければ、日本人でなければ開催すらできなかった」評価した。ところが日本では終わってみたら、早くも批判的な動きが見え始めた。「何なんだこれは、どこまで自虐的なことが好きな国民なんだ」と思わざるを得ない。

◆今回の東京2020オリパラは、もともと復興オリンピックのはずだった。ところが世界的コロナの影響で、そのコンセプトが影を薄めた。そのためにも、開会式ではもっと「東日本大震災」の災害当時の映像(津波、原発事故、米海軍のトモダチ作戦や海外の救援活動の映像)とともに、10年経過した現在の復興状況の映像(都市や農漁村の暮らしの状況、住宅インフラ等の回復状況、福島県産生鮮食料品の生産・流通、消費に至る一連の安全性のPR)などを淡々と流し、その上で、援助してくれた世界各国の人達に向かって、被災地はじめ多くの国民の御礼の声を届けたならば、本来の目的により近づいた大会になったのではなかろうか。(続く)


 

 

 

 

 

2021年9月13日 (月)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(3)

2.コロナ禍での東京オリンピックとパラリンピック開催の決断(上)

◆2020年、新型コロナウィルスの世界的パンデミックにより1年延長となった”東京2020オリンピックとパラリンピック”。しかし1年経っても収まるどころか、型を変え質を変え猛威を振るった。一方、次第にその正体が判明し、ワクチンも開発され、日本でも高齢者・医療従事者にワクチンの接種が始まっていた。

◆そのような状況にあって、オリパラの開催に消極的、批判的な動きが起こった。「国内すべて自粛ムードの中にあって、何故オリパラだけはOKなのか。海外からさらに持ち込まれて感染拡大したら誰が責任をとるのか」こうした声に本来積極的対応をするはずのメディアまで同調したかのような動きを示した。立憲民主党の枝野代表は「選手や関係者の来日は世界の変異株の展示会みたいになる」とまで、反対論帳を展開した。

◆その背景には、様々な不祥事、会長交代、競技場の設計変更、会場地の変更、聖火リレーの大幅予定変更、ボランティアの相次ぐ辞退などマイナス・イメージが働いたことも否めない。だが、こういう状況にあっても筆者は「始まってしまえば、日本は旨くやれる。メディアも豹変し、選手の活躍、躍動をを伝え、国民はテレビを通して感動を覚える。そうなるはずだ」と確信していた。

◆しかし、開催か再延長か、それとも中止して開催返上か、大きな決断を迫られた。IOC、組織委員会、東京都、そして国を代表する総理大臣、様々な重圧があったと思われる。そして決断の時が来て、最終的に無観客開催に決定した。少し失望したが、開催延期や中止するよりはましだった。この裏には菅総理の決断が大きく働いたと確信する。(続く)

2021年9月12日 (日)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(2)

2. コロナ対策とワクチン接種
◆世界的パンデミックを惹き起こした武漢ウィルスへの対応問題。そもそも日本は医療大国で病院・病床数とも多く、国民皆保険制度、衛生観念の高い国民性として誇れるものを持っていた。日本は毎年冬になるとインフルエンザが蔓延したり、最近ではサーズ、マーズ、鳥インフルなどが世界的に流行しても、それなりにワクチンや治療薬などを開発して、大きなパンデミックになることもなかった。即ち、日本は感染症に対する過信みたいなものがあったのではないか。しかし、今回の新型コロナには通用しなかった。かつて、天然痘、コレラ、スペイン風邪など当時の医療では対応できないパンデミックが歴史上何度も起こったが、今回の新型コロナウイルスは当時とは比較にならぬ程発達した現代医療においてさえ、結果的に100年前のスペイン風邪をも上回る感染者数を出した。このウィルスは発達した現代科学をあざ笑うかの如く、姿を自在に変化させ、増強していった。

◆強固と思われた日本の医療体制が、実は検疫体制の不備、合理化に伴う保健所の機能の低下、利益優先の医師会と偏った医療政策、公的病院の数的脆弱さ、ワクチン・新薬開発に伴う公的資金の不足、中央と地方の役割と連携の在り方など、今回の新型コロナ禍がまざまざと日本の医療体制や医療行政の問題点を浮き彫りにして、国民の前に曝け出した。

◆その結果、これらの対策が後手後手になったという批判があるが、まず誰が指揮をとっても上手く行かなかったことは、多くの海外の例をみても明らかだろう。何故ならこうした危機を予め予測して、危機に備える体制、対応策をとっていた国など皆無だからだ。こうした中に在って、ワクチン接種に関しては、数の確保、接種の促進について菅内閣は先進諸国に比し出遅れ感はあったものの、外交努力と超法規的処置をとって、河野ワクチン担当大臣さえ首を傾げた1日100万人の接種を実現した。こうして9月10日には全国民の5割が2回目の接種を終え、月末には6割の人の終了が見込まれている。また65歳以上の8割が月末までに接種を終える見込みだという。この裏には打ち手不足を見越して、自衛隊や救急看護師、歯科医師まで超法規的に活用した菅さんのリーダーシップが見て取れる。

◆問題は、ワクチン接種の効果が顕れはじめ、収束に向かいつつあると見られる10月、11月、即ちポスト菅後の新政権の対応だ。誰が総裁に選ばれるとしても、医療体制の見直し、再構築、ワクチンや治療薬国産化に向けた体制と予算措置など、喫緊の課題だ。「鉄は熱いうちに打て」という。放っておけば「のど元過ぎれば熱さを忘れる」国民性だ。時期総理総裁はこの辺りを第一に考え、実行に移さなければ、すぐに支持を失うことになってしまうだろう。(続く)

 

2021年9月11日 (土)

菅総理の功績と菅後の日本の政治(1)

はじめに
◆菅総理の自民党総裁選への突然の不出馬宣言に伴って、政局の動きが一変、TVは連日のように候補者の一挙手一投足を報じ、誰が勝つかの報道に余念がない。菅さんの支持率は発足当時の70%から30%前後に大幅に下落した。しかし、謂われる程にダメな総理だったのか。メディアはだめな部分ばかり強調し、実績は殆ど報じない。

◆ちょうど1年前、安倍総理の体調不良による突然の辞任に始まり、当時官房長官だった菅さんは、9月2日総裁選出馬に名乗りを上げた。「この人は参謀型・実務型の政治家でいわゆるトップに向いているのか、生真面目だが口下手で、後々それがマイナスに働くのではないか」とその時には思った。ところが9月14日の総裁選で、安倍・麻生氏らの支持を受けた菅さんは「あれよ、あれよ」という間に、岸田・石破両氏を破り、新総裁に就任、9月16日に第99代内閣総理大臣に就任した。

◆もともとリリーフ登板を自認し、安倍元総理の路線を引き継いで、「国民のために働く内閣」、「仕事師内閣」を前面に打ち出した。その朴訥で飾り気のないスタイルは「好意的に受け取られ、スタートしてから暫くは70%の支持を得ていた。その菅内閣が1年経った今、30%前後の支持率まで下がった。総裁続投の意思はあったはずだが、多弁を弄することもなく、男は黙って勝負するかのように、突然出馬を取り止めることになった。「やれ、無責任だ、途中で放リ出した」などと非難を浴びた。果たして本当にそうなのか、本稿では菅内閣の功罪と実績を具に見てみようと思う。そして新総裁・総理に求められる課題は何なのか考えてみたい。(続く)

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