「日本学術会議会員」の任命拒否の問題、是非を問う。
◆菅政権による「日本学術会議会員」6名の任命拒否問題が国民の関心を呼ぶ大きな問題にまで発展している。野党やメディアが主張する「学問の自由への侵害」は一見尤もらしいが、実はとんでもない暴論だ。日本学術会議がいくら独立性を主張しようと、政府の組織の一部であり、その会員は特別職公務員であって、「日本学術会議」自体が国の予算を基に存続している以上、政権の監視が及ばないという事は在り得ないからだ。つまり「口出しはするな。金だけ黙って寄こせ」というのが学術会議側の主張。逆に「学術会議会員でなければ学問の自由は無くなるのですか」と問いたい。
◆今回、日本学術会議・野党・メディアらが6名の任命拒否の理由を明らかにせよと声高らかに叫ぶが、多くの関係者はその理由は分かっているはずだ。それを明かせば互いにキズが付くから、「分かっているだろう、察してくれ」というのが政府の本音だろう。説明しない原因とは何だろうか。まず、学術会議側の要因をあげれば、210名の会員になることは、たぶんに最終的な学者としてのステイタスだ。それを一部の役員間で内々に選ぶという慣行に対し、他から口出しされたくないということはあるだろう。つまり既得権益を守りたいということに他ならない。
◆菅政権はこうした悪しき前例主義を改めたいという基本スタンスがあるので、先にあげた理屈で押し通すとすれば、今まで認められてきた前例を壊すのかという感情論とのぶつかり合いにならざるを得ない。さらに6名の特定の学者が任命拒否された個々の理由について触れていないと主張するだろう。しかし人事の内容について個々の事情を明らかにするということは個人のプライバシーにも関わってくることでもあり、凡そ一般的ではない。
◆実は想定される真の理由は、任命を拒否された6人が過去に安保法制や特定秘密保護法、集団的自衛権法案などで反政府的言動を繰り返し示してきたことが根底にあるのかもしれない。彼らは左翼勢力特に共産党との繋がりがはっきりしており、日本の安全保障上好ましくないばかりか、それを妨害する存在であるからだろう。しかし、それを表明すれば彼らは「思想信条の自由の侵害だ」と言って騒ぎ出してくることは火を見るより明らか。即ち、「それを言っちゃ~お終いよ」というやつだ。
◆任命拒否の理由を強く求めれば、「日本学術会議」そのものの在り方が問われ、解体論と共に、民間団体としての再編成論議が起こって、(すでに自民党内でその動きがあり)「学問の自由を旗印にして、好きなようにやってください」ということになりかねない。そうなっては既得権益も失い、元も子もなくなるから、「あまり深く突っ込むとお互いの為になりませんよ」というメッセージなのではなかろうか。しかし、国民への説明がないと国民は「何かいかがわしいことが裏にあるのではないか」という疑念を持ち続けることになりかねない。政府としては「痛し痒し」といったとこだろうが、この際真に国の為になる「新しいアカデミー体制」を打ち出すべきだろう。
最近のコメント