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2019年5月 4日 (土)

「平成」に積み残してきたもの

◆「令和」の時代が始まった。世の中が新しい気分になるのは結構なことだが、現実の世は1日で大きく変わるほど単純なものではない。平成の世に大きく変わったものは数多いが、変わらないのは日本の政治だ。戦後の一時期、昭和22年6月から翌23年2月にかけて、社会党片山哲を首班とする連立政権が成立したが、短命に終わった。以来昭和30年に、いわゆる55年体制と言われる保守政権の自民党対万年野党の社会党という構図が出来上がった。この体制は平成の世になり、同5年(1993)8月、野党8党・会派による「細川連立政権」が発足するまで、約40年続いた。

◆この間、金権政治、派閥政治、腐敗した権力構造などと批判されながらも、日米安保体制のもと、高度経済成長の波に乗って、国民の暮らしは向上し、日本の国際的地位は高まっていった。まさに昭和元禄と言われた時代だった。ところが、長く続いた一党独裁政権の弊害が顕著となり、政治改革が叫ばれるようになった。そうした中で「細川連立政権」が成立し、55年体制は崩壊したかに見えた。しかしこの政権は「反自民」というだけで集まった野合政権で、瓦解するのも早かった。一旦政権を失った自民党はなり振り構わぬ政権奪還を目指し、翌H6年6月に村山社会党委員長を首班とする「自社さ」連立政権を発足させた。

◆平成の世はバブルの絶頂期から始まり、バブルが崩壊すると、大震災・経済危機など数々の試練に直面。世界的には東西冷戦の終結で、安定した平和の時代の到来かと思いきや、逆に紛争や大規模テロが頻発、新たな無秩序が広がった。H20年にはリーマンショックという世界的金融危機が起こり、日本経済は出口が見えない長いトンネルに入ってしまった。政治の世界では政権交代可能な選挙制度の導入ということで、小選挙区制が施行され、3度の総選挙を経て、H21年(2009)9月、民主党が単独で過半数を大きく上回る大勝利を果たした。自民党以外の政党が単独で過半集を獲得した戦後初の政権が誕生。多くの人は(筆者も含めて)新しく発足した「鳩山内閣」に希望を託した。しかしその期待は後の菅内閣、野田内閣と三代続いた民主党政権に大きく裏切られる結果となった。

◆民主党政権の失敗は、沖縄辺野古基地の混迷化、東日本大震災と福島原発事故の対応の不味さ、尖閣諸島をめぐる対中国との稚拙な外交等、未熟さが表面化したものだが、要するに政策遂行能力の欠如、官僚機構に対する統治能力の欠如が主因だ。万年野党で染みついた批判体質、責任転嫁体質、財源の裏付けのない人気取り政策、バラバラの外交安保政策・・一口で言えば政権担当能力の欠如としか言いようがなかった。国民はバラ色の幻想を抱き、それに踊らされたが、その反動はH24年12月に第二次安倍政権が成立したことに現れた。その政権が6年4か月と史上最長の長きに亘って続いている現状を見ても、前民主党政権への絶望が大きかったことを物語っている。

◆今、野党は「安倍一強打倒!」とか「政権奪還!」とか「統一候補の擁立!」とか叫んでいる。離合集散を繰り返し、数の寄せ集めと「敵失と風頼み」で、「夢よ再び」という訳か。憲法、原発、外交安保などの各論になると意見はバラバラ、纏まらない。いや纏める気がない。奪還姿勢はポーズだけ、今叫んでいることは枝葉末節の事。前回敗戦の本質論に踏み込んでいない。国民は安倍政権に満足しているわけではない。政権担当能力のない野党よりは増しだという程度。本当に政権奪還を果たそうとするならば、目指す政権の旗印はこうで、顔はこうだ、と目に見える形で国民に示せるようでなけらばならない。結局、平成の世に積み残してきたもの、それは野党が政権担当時代に負った「多くの負の遺産」だ。その清算を果たさないまま、再度政権を任してもらおうなんてあまりにも厚顔無恥すぎる。

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