秋の京都・奈良、お気に入りのスポット(2)
【正倉院展】 今回の旅行の目的の一つである「正倉院展」は70回を数える節目の展覧会。比較的に入場者が少ない夕方の時間帯だったが、それでも盛況を極めていた。目玉展示品である玳瑁(タイマイ)螺鈿八角箱は想像した以上に大きなもので、平螺鈿背八角鏡と並んで、とても1300年ほど前に制作されたものとは思えないほど精巧で綺麗な細工物だった。また、沈香木画箱、犀角如意等、華麗な工芸品が目を楽しませてくれた。その他にも光明皇后が履いたと言われる室内履き、陶器製の鼓、和琴の原型を類推させる新羅琴など、例年以上に充実した展示内容だった。
【興福寺の中金堂】 710年の創建以来、度重なる焼失・再建を経て平成30年の今年、8年の工期を経て創建当時の様式で復元された。朱塗りの柱、白壁、金箔のシビなど全てが真新しく、年月を経た重厚さは感じられない。中央に安置された本尊釈迦如来坐像は江戸時代の1811年に制作された木造寄木造りで、これまた金ピカ過ぎてしっくりこない。むしろ本尊の周囲に配された四天王像(国宝)、吉祥天・大黒天、薬王・薬上の二菩薩は重要文化財に指定され、周囲の脇役の方がメインキャストに見えてくる。 復元された中金堂
【その他】 京都の永観堂は紅葉が見事、石庭の天竜寺はじっくり鑑賞するには最高の庭園だが、いずれも押し寄せる東アジア系の観光客のため、興趣が削がれてしまう。
南禅寺の三門は初めて登楼したが、地上22m、「絶景かな、絶景かな」と石川五右衛門の歌舞伎の台詞で有名なだけのことはある。楼の中を垣間見ることはできるが、中に入ることはできず、これまた半減だ。奈良の迎賓館と言われる奈良ホテルに宿泊。多くの皇室の賓客が定宿にしているだけに高級感溢れ、ディナーのフレンチは洗練された味で、星五つか。
南禅寺三門二階回廊から京都市内を望む。
【余談】 京都から奈良へ移動途中、ベテランバスガイドさんから聞いた話。正岡子規の「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の句は実際には東大寺門前の旅館に泊まった時に詠んだ句で、最初は法隆寺ではなく東大寺だったと言う。翌日、斑鳩の「法隆寺」を訪問した時に、「待てよ、東大寺より法隆寺の方が語感がいいな」ということで、修正したものだったとか。秋の京都・奈良を訪ねる2泊3日のやや贅沢なツアーではあった。(終わり)
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コメント
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もう読まれましたか、
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)
読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
投稿: omachi | 2018年11月26日 (月) 16時47分