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2018年9月15日 (土)

自民党総裁選と憲法論議(後)

安倍総理は9条(1)項の「平和主義」と(2)項の「戦力不保持」はそのまま維持し、新たに9条の2として「自衛隊の存在」を明記し、法的根拠を与えようとする考えを打ち出した。即ち、現実をそのまま認め、宙ぶらりん状態の自衛隊を正式に認知しようというもの。これなら現状と大きく異ならず、比較的国民に受け入れられやすいと判断したのだろう。
        ◇         ◇         ◇

ところが、この案に対しては「実質、現状が変わらないのであれば、何も憲法を改正する必要がないではないか」と、左派系政党をはじめ、憲法改正反対派から声が上がる。また、安倍さんは「史上初めて憲法改正した総理として名を残す考え」ではないかと、穿った見方する人もいる。しかし、もっとも大きなポイントは、(2)項の「戦力不保持と交戦権の否認についてそのままにした上、いくら憲法上に自衛隊を明記しても、戦力ではないという従前からの主張の矛盾については、何ら解決策にはなっておらず、対立の図式は変わらない。
        ◇         ◇         ◇
対立候補の石破氏はまさにこの点を突き、安倍さんの提言は「まやかし」であるとして、大胆にも(2)項の「戦力不保持と交戦権の否認」を削除し自衛隊を通常の軍隊であることを明記し、保持を定める。その上で国際法上の「交戦権」を認めようとするもの。もちろん自衛隊の暴走を防ぐため、文民統制(国会や内閣による)の原則を明確に定めるという。
        ◇         ◇         ◇
さて、どちらの議論が正しいか。理論的には石破氏の提言が正しい。自衛隊は軍隊ではないなどという非現実的なところを改め、矛盾がなくなり、スッキリした形になる。しかし、この憲法案だと、反対勢力から逆に「戦争ができる国にしようとしている」などと喧伝され、それに乗じて、中・韓・北朝鮮あたりから「右傾化だ、軍国主義の復活だ」などと逆宣伝されるだろう。そして(1)項で平和主義の貫徹を謳っているにも拘らず、そのことには目もくれない。その辺りを意識してか、持論の改正案については、「緊急課題ではない、理解無き憲法改正をスケジュール感ありきでやるべきではない。」とトーンダウンしている。これはこれで「機を見るに敏」な政治家の姿勢をよく表している。ではいつ理解を得られるのか?
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結局総理の案は「現実」を直視した案で、自衛隊員の立ち位置について「」に訴えた形ではあるが、根本的な矛盾を孕んだままであるのに対し、石破氏の案は「理想」を追求した案で正論ではあるが、現実性に欠けるきらいがある。これほど難しい安全保障や憲法改正について国民に判断せよといっても簡単ではない。為政者は安全保障上の長期的ビジョンと国益を第一とした外交方針を示したうえ、そのための憲法改正の必要性を丁寧に説明して、理解を得るしかない。このまま何もせず、放置したままで、「他国侵略の難」が起こったときに、「時すでに遅し」では済まされない。(終)

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