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2018年4月 9日 (月)

防衛省の日報問題の本質を探る(下)

◆憲法は前文の中で、「日本は恒久平和を求め、世界の平和を維持するため、同じ価値観を持つ国際社会の一員として、名誉ある地位を目指す」という趣旨を謳っている。PKOは国連決議に基づく、国際的な平和や安全を維持するための活動であり、専守防衛を標榜する日本が自衛隊を海外に派遣する根拠ともなっている。派遣する際は国会の承認を得ることになっているが、憲法9条の「戦争放棄、戦力及び交戦権の否認」との整合性を盾に、必ずしも国論が一致しないという問題点を孕んでいることがこの背景にある。

◆自衛隊法の規定には、「首相が『内閣を代表して、最高の指揮監督権』を持つ。内閣の一員である防衛相が常時自衛隊を統括する」とある。これ即ちシビリアンコントロールであり、実力組織である軍隊の上に文民が立って統制することを明確化している。防衛省の主な任務は「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛すること」と規定されている。戦闘能力を持つ武器を合法的に使用できる国内最大の実力組織だ。問題はこれだけの組織と実力を持ちながら、あい矛盾する憲法9条との整合性において、70年経っても未だその地位が明確になっていないことにある。

◆自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力を持つもの」と定義されているが、この「必要最小限度」とは実に曖昧なもの、どう捉えるかは人により異なるもので、周辺諸国の状況の変化や技術の変革等で変動するものだ。防衛費は2018年度予算案では6年連続で増額し、5兆1911億円。4年連続で過去最高を更新した。世界の軍事費では日本は上位8位にランクされている。これを多すぎると見るか、いや足りないと見るか、これらの説明が足りないから、多くの国民は防衛問題、安全保障問題に戸惑いを覚え、コンセンサスを得にくい状況となっている。

◆安倍総理は自衛隊を憲法に明記するよう提案した。しかし、その必死さが伝わってこない。まずは防衛問題に限らず、すべての問題に対して追及から逃げるのではなく、真摯に向き合うことだ。野党を説得できずして、国民がついてくるだろうか
内閣の命運をかけてでも、「何故PKOが必要なのか」、「自衛隊はどうあるべきなのか」、「日本の安全保障をどうすべきなのか」、「何故憲法9条の改正が必要なのか」、こうした基本的な問題について、反対勢力を説得し、国民の理解を得る努力をすべきだ。最終的には安全保障に関する国民のコンセンサスを築かなければ、いつまで経ってもこの国の防衛問題は解決できない。自衛隊の身分が憲法上明確になっていないからこそ、廻り回って末端の自衛隊員の日報問題にまで行きつくことになる。国防に関する明確な指針がなく、法的な整備も不十分なまま、国民と政府と自衛隊の信頼関係を築くことができるのか。これなくして自衛隊が本当に機能するのか、いかにも心許ない。(本稿終り)

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 この一か月、ますます冴えていますね。興味深く読ませていただきました。
国民の皆が貴方のように真剣に自国のことを考えてくれたらもっとまともな国になるのでしょうが・・・
 明治の鬼胎が昭和の戦前を創ったのなら、現代の鬼胎はどんな風に成長するのでしょうか。自分は生きていないとはいえ、空恐ろしいことに思えてなりません。

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