« 唱歌「故郷の空」 | トップページ | 富士山の宝永大噴火から300年 »

2016年10月26日 (水)

名作「七人の侍」を鑑賞

◆今年の「午前10時の映画祭」の19番目の作品「七人の侍」を鑑賞してきた。この映画は日本を代表する映画であるだけでなく、世界の最高峰にランクされる映画でもある。『七人の侍』は1954年(昭和29年)4月に公開された時代劇で、監督は黒澤明、主演は三船敏郎と志村喬。上映時間は途中5分の休憩を挟んで、3時間27分という超大作だ。今まで、劇場で再上映されたもの、テレビで再放送されたものなど何度も見ているが、映像や音声が古いところが難点だった。今回は高品質の4Kデジタルで復活し、鮮明化された映像とクリアな音響効果もあって、細部までじっくり鑑賞できた。そして新しい発見もあった。

1黒澤監督はこれまで歌舞伎などから影響を受けた時代劇を、根底から覆すリアルな作品を撮ることを考えていた。戦国時代の浪人は武者修行の折に、どうやって食べていけるのかを調べていったところ、農民たちに飯と宿を与えてもらう代わりに寝ずの番をして「野伏せり等の夜盗」から村を守ったと言う話を見つけた。そこから「武士を雇う農民」をストーリーの根幹に据えることにしたという。綿密な時代考証の元、橋本忍小国英雄の脚本家を加えた3人は熱海の旅館に45日間閉じこもって、綿密なシナリオを練り上げ、時代劇におけるアクション映画の金字塔を確立した。

4◆七人のリーダー格を演じる志村喬はこの映画の2年前に「生きる」の主人公で、定年を目前に癌を宣告された弱々しい、小役人を演じた。ところがこの映画では堂々とした温かみのある武士のリーダーを演じている。役者とはいえ、これが同じ人物かと思えるほどの変わりようだ。
型破りの乱暴者だが、コミカルな面を併せ持つ菊千代約の三船敏郎、百姓の出で百姓の内面・外面すべてを熟知した野性味豊かな役柄を演じている。
また凄腕の剣客久蔵役の宮口精二は口数が少なくあまり感情を表わさないが、根は優しいという側面を時折見せる。宮口の役は「ルパン三世」の登場人物の石川五ェ門のモデルになったとも言われている。この他、稲葉義男加東大介千秋実木村功といった今は亡き、個性豊かな面々が、貧しい村と村人の命を守るため、自分の命を懸けて野武士集団と戦う。


2 3宮口精二

◆黒澤のリアリズムは「一人の人間が何十人もの相手を切るって言うのは嘘だ」と語っており、「何十本の刀を用意して刀を替えながら戦った」という剣の名人足利義輝に倣って、菊千代に刀を地面に立てさせ、何人かを斬る毎に刀を替える場面を挿入している。
黒澤監督はこの映画で、村人に「自分たちの村を守るのは村人本人だ」、「武器をもって侵略者と戦うのだ」、「自分達(七人の侍)はそのお手伝いするに過ぎない」と、「自衛」と言う考えを述べているように思える。この年(昭和29年)7月に防衛庁と自衛隊が発足しているが、黒澤監督は国家の防衛というものをどのように考えていたのか、知りたいところだ。

« 唱歌「故郷の空」 | トップページ | 富士山の宝永大噴火から300年 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1299847/68123532

この記事へのトラックバック一覧です: 名作「七人の侍」を鑑賞:

« 唱歌「故郷の空」 | トップページ | 富士山の宝永大噴火から300年 »

2016年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ