2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

最近のトラックバック

« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »

2016年10月

2016年10月30日 (日)

富士山の宝永大噴火から300年

◆2014年9月、木曽御嶽山が大噴火。死者58名・行方不明者5名の大惨事を惹き起こした。今年に入ってからも、箱根山や口永良部島、浅間山などで火山活動が活発化した。4月の熊本地震(4/14日と4/16日に震度7の大地震が発生、7月2日までに発生した震度3以上の累計件数は406件に達した)の後、10月8日には阿蘇山中岳が噴火。また10月21日には鳥取県中部地震(M6.6)が発生。ここ数年の間に日本列島は地震・火山活動が活発化していることは間違いない。

◆10/15日と10/22日に放映されたブラタモリは「富士山青木ヶ原樹海の正体」をテーマに取り上げていた。青木ヶ原樹海の正体は、富士山最大級の大噴火・平安時代の「貞観噴火」で流れ出た溶岩の上に、1000年以上かけて再生した30平方kmにもなる広大な森だったという内容だった。記録に残る富士山の噴火で三大噴火と言われる噴火は、①延暦の大噴火(800年~802年)、②貞観の大噴火(864年~866年)、③宝永の大噴火(1707年12月16日に始まった大噴火)である。

◆平安時代は火山活動が活発化、延暦の大噴火では大量の火山灰を降らし、802年の噴火で相模国の足柄路(古代の東海道)は1年間閉鎖され、迂回路として箱根路が利用された。貞観の大噴火では北西斜面約10kmの地点の割れ目から大量の溶岩が流出し、青木ヶ原樹海の元となった。そして今から309年前の宝永の大噴火では富士山東南斜面で大爆発が起こり、噴煙の高さは20km、100km離れた江戸でも火山灰が2~5cm積もった。地下20km付近のマグマが滞留することなく上昇したため、爆発的な噴火になったという。一番大きな火口の最上部が宝永山となった。

富士山爆発と地震の関連】
・貞観大噴火は、貞観地震(869年)の5年前に起きた。陸奥沖の日本海溝付近を震源としている大地震(推定M8.3以上)であることから貞観三陸地震とも呼称され、5年前の3.11東日本大震災は貞観地震の再来ではないかと言われている。だが、同じパターンであるなら10年前に富士山が大噴火していることになるが、そうはなっていない。
・宝永の噴火の始まる49日前に宝永の大地震(最大級の地震で、震源は南海トラフ、M8.6~8.9)が発生。震源域となった南海トラフを東北に延長すると、駿河湾を通って、富士山西麓の活断層、富士川河口断層帯と連続しているので、東南海地震の方がより影響が大きいと思える。いずれにしろ関東近辺で起こる大きな地震の場合、前後25年以内に富士山に何らかの活動が発生している事例が多く、地震と富士山活動とは関連性があるとされる。
・富士山が噴火する場合、何らかの予兆が観測されているので、当面は大丈夫と思われるが予断は許されない。直線で45km圏内に住む身であれば、被害の程は計り知れないが、その時はその時と開き直るしかないだろう。


【ついでに】
宝永の大噴火では降灰が細かい塵となって、長い間江戸市民を苦しめ、多くの人が呼吸器疾患に悩まされたという。その模様を表した狂歌が残されている。
これやこの 行くも帰るも 風邪ひきて 知るも知らぬも おほかたは咳
(百人一首、蝉丸の「これやこの行くも帰るも 分かれては 知るも知らぬも あふ坂の関」の戯れ歌)

2016年10月26日 (水)

名作「七人の侍」を鑑賞

◆今年の「午前10時の映画祭」の19番目の作品「七人の侍」を鑑賞してきた。この映画は日本を代表する映画であるだけでなく、世界の最高峰にランクされる映画でもある。『七人の侍』は1954年(昭和29年)4月に公開された時代劇で、監督は黒澤明、主演は三船敏郎と志村喬。上映時間は途中5分の休憩を挟んで、3時間27分という超大作だ。今まで、劇場で再上映されたもの、テレビで再放送されたものなど何度も見ているが、映像や音声が古いところが難点だった。今回は高品質の4Kデジタルで復活し、鮮明化された映像とクリアな音響効果もあって、細部までじっくり鑑賞できた。そして新しい発見もあった。

1黒澤監督はこれまで歌舞伎などから影響を受けた時代劇を、根底から覆すリアルな作品を撮ることを考えていた。戦国時代の浪人は武者修行の折に、どうやって食べていけるのかを調べていったところ、農民たちに飯と宿を与えてもらう代わりに寝ずの番をして「野伏せり等の夜盗」から村を守ったと言う話を見つけた。そこから「武士を雇う農民」をストーリーの根幹に据えることにしたという。綿密な時代考証の元、橋本忍小国英雄の脚本家を加えた3人は熱海の旅館に45日間閉じこもって、綿密なシナリオを練り上げ、時代劇におけるアクション映画の金字塔を確立した。

4◆七人のリーダー格を演じる志村喬はこの映画の2年前に「生きる」の主人公で、定年を目前に癌を宣告された弱々しい、小役人を演じた。ところがこの映画では堂々とした温かみのある武士のリーダーを演じている。役者とはいえ、これが同じ人物かと思えるほどの変わりようだ。
型破りの乱暴者だが、コミカルな面を併せ持つ菊千代約の三船敏郎、百姓の出で百姓の内面・外面すべてを熟知した野性味豊かな役柄を演じている。
また凄腕の剣客久蔵役の宮口精二は口数が少なくあまり感情を表わさないが、根は優しいという側面を時折見せる。宮口の役は「ルパン三世」の登場人物の石川五ェ門のモデルになったとも言われている。この他、稲葉義男加東大介千秋実木村功といった今は亡き、個性豊かな面々が、貧しい村と村人の命を守るため、自分の命を懸けて野武士集団と戦う。


2 3宮口精二

◆黒澤のリアリズムは「一人の人間が何十人もの相手を切るって言うのは嘘だ」と語っており、「何十本の刀を用意して刀を替えながら戦った」という剣の名人足利義輝に倣って、菊千代に刀を地面に立てさせ、何人かを斬る毎に刀を替える場面を挿入している。
黒澤監督はこの映画で、村人に「自分たちの村を守るのは村人本人だ」、「武器をもって侵略者と戦うのだ」、「自分達(七人の侍)はそのお手伝いするに過ぎない」と、「自衛」と言う考えを述べているように思える。この年(昭和29年)7月に防衛庁と自衛隊が発足しているが、黒澤監督は国家の防衛というものをどのように考えていたのか、知りたいところだ。

2016年10月23日 (日)

唱歌「故郷の空」

 Photo_4  

1. 夕空晴れて 秋風吹き                 
  月影落ちて 鈴虫鳴く
  思えば遠し 故郷の空
  ああ わが父母 いかにおわす     

2. 澄ゆく水に 秋萩垂れ
  玉なす露は 芒
(すすき)に満つ            

  思えば似たり 故郷の野辺
  ああ わが兄弟(はらから) たれと遊ぶ 


誰もが一度は小学校の音楽で習った「故郷の空」。原曲はスコットランド民謡、明治21年5月、「明治唱歌第1集」に「故郷の空」として掲載された。作詞(訳詩)は大和田建樹(1857~1910)。この頃、いわゆるオリジナルな文部省歌はまだ少なく、軍歌調なもの、日本の古典を題材にしたものが多かった。大和田は「故郷の空」の他にもフォスターの「故郷の人々」を訳詩したが、この頃別の作詞家が、「春風」(吹けそよそよ吹け~)や「埴生の宿」訳詩している。ついでながら大和田建樹は有名な「鉄道唱歌」(明治33年)、「青葉の笛」(明治39年)を作詞している。

さて、「故郷の空」に話を戻すが、この時期になるとこの歌のメロディが頭をよぎる。秋の澄み渡った空気が思い出させるのか。子供の頃覚えたての歌を口ずさんでいると、父親が少し音程のずれた歌声で合わせてきた。そして母親も。なんで知っているのかと思ったものだが、この歌は両親が生まれるはるか以前から日本に根付いていたものだったのだ。

故郷長崎市内はいわゆる田畑や山里、田園風景にはかなり遠い。ただ、頬をなでる秋風、虫の声、赤トンボ、風になびくススキの揺れなどは感じられた。家からほど近い廃れた外人墓地で遊び、夕空をバックに家路に着くころ、空気がなんとなく透明なうす紫色に感じられた。
後年、「故郷の空」の原曲はスコットランド民謡『Comin' Thro' The Rye』(ライ麦畑で出逢ったら)と知った。

  If a body meet a  body, Comin' Thro' the Rye
  If a body kiss a body, Need a body cry?      (以下略)


スコットランドの古き良き開放的な男女の営みを、ライ麦畑でのやりとりを通して、おおらかに描いている。身の丈ほどの高さに成長するライ麦。そんなライ麦畑の中で、男と女が出逢ったら・・・。
作者は有名な「蛍の光」(Auld Lang Syne) のロバート・バーンズ。この歌も日本では別れの歌に変貌しているが、「故郷の空」をもっとも原曲に近い形で表現したのが、なかにし礼が作詞し、ザ・ドリフターズが歌った「誰かさんと誰かさん」であることは言うまでもない。これが世に出たとき、一部年配者から「冒涜的な替え歌」という批判が出たと言う。さもありなんと思うが、訳詩は原曲に忠実でなくとも、名曲になりうること、国民の感性に合ったものが一番と思う次第である。

2016年10月20日 (木)

秋と夏が同居

10月も下旬に入ろうとするこの時期、思い出したように夏が帰ってきた。
秋を代表する巻雲(すじ雲)と夏を代表する入道雲が青い空をバックに共演しているようだ。


Dscf1804 
10/18 昼自宅マンションから

大磯の浜では水辺で遊ぶ子らが秋を忘れさせる。

Dscf1801 10/18日11時大磯海岸で

久しぶりの相模湾の朝焼け

Dscf1799 10/18朝 自宅ベランダより

2016年10月18日 (火)

中国膨張主義・番外編 -最終回ー

◆今年のノーベル生理学・医学賞は大隅良典・東京工業大学栄誉教授が受賞した。日本人のノーベル賞受賞は3年連続となる。これに関し、NET上で中国メディアのおもしろい記事を見つけた。以下要旨を引用--中国では毎年この時期になると、「何故日本はノーベル賞受賞者をこれほど多く産出できるのか」といった議論が盛り上がる。ある中国メディアは、大隅氏は自然科学分野でノーベル賞を受賞した22人目の日本人になったと伝え、この数字は英国やドイツ、ロシアを上回っていると紹介。さらに、日本がこれだけ多くのノーベル賞受賞者を輩出できた理由は「日本の紙幣」を見ればよく分ると伝えている。

◆記事は、紙幣という「小さい」存在から、日本が「ノーベル賞大国」である理由が見て取れると伝え、日本の紙幣には他国のように国王や政治家などの肖像は描かれていないと指摘。確かに、中国は1元札から100元札まですべての紙幣が毛沢東だが、日本の場合は「思想家や科学者、作家、教育家が紙幣に採用されている」と紹介した。

◆続けて、1万円札に採用されている福沢諭吉、5000円札の樋口一葉、1000円札の野口英世、そして2007年までに発行されていた1000円札には夏目漱石、5000円札の新渡戸稲造についてそれぞれ紹介した上で、「彼らは日本ではエリートとして認識されており、外国の文化を導入し、日本に新しい血液をもたらした人物も多く、日本を強くすることに貢献した人物であると紹介した。また、紙幣に描かれる人物はその国の意思と社会の価値観が反映されていると指摘し、政治家ではなく、思想家、科学者、作家、教育家が紙幣に採用されている点から、日本が教育や科学を重視していることが読み取れると伝えた。

◆なるほど、そういう見方もあるのかと感心、まさに「正鵠を得ている」と思った。ここに、中国が国際法秩序のもとに普通の国家として仲間入りを目指すヒントがあるように思う。中国4000年の歴史は覇権主義の歴史だった。その意味では現共産党政権はその遺伝子を確実に引き継いでいる。しかし中国はその一方で、多くの思想家、歴史家、学者、詩人・文学者等を輩出してきた。即ち、孔子、孟子、諸葛孔明、司馬遷、李白、孫文、魯迅など多士済々だ。

◆中国共産党の歴史はたかだか100年にも満たない僅かな期間だ。この間、これらの先人、先哲に匹敵するような偉人は殆ど輩出していない。毛沢東一色の紙幣を止め、これらの偉人達を紙弊に登場させれば、国民のムードも変わり、ノーベル賞受賞者もでてくるだろう。それができるかどうか、中国共産党主導者の考え方如何に掛かっている。(終り)

1   1000   5000

2016年10月17日 (月)

中国の膨張主義と国際社会の対応 -シリーズ4-

◆1992年に米国がフィリピンの南シナ海に面するスービック基地から撤収し、南シナ海方面に向けた米軍の最前線拠点が沖縄まで後退したのを契機に、中国は南シナ海における実効支配を一方的に強化・拡大させてきた。それ以来、中国は海洋戦力の増強とともに、東シナ海、インド洋方面へも戦略的な海洋政策を展開。これに対してオバマ政権は中国のこれらの動きに対して、何の対抗措置も打ち出してこなかった。この間隙を衝いて、中国は目立たないように小さな島嶼や環礁を埋め立て、人工島にして基地化を進め、いつの間にかアセアン諸国の抵抗を封じ、南シナ海を自国の海のようにしてしまった。

◆中国の膨張主義は既存の国際秩序に挑戦的で、やがて国際秩序も中華思想で塗り替え、世界の統治も「中国が主導する新しい秩序のもとに構築される」ものと思っているようだ。まさに遠大な戦略であり、それに向かって着々と戦術を展開しているように見られ、まさに放置できない危険な思想と言えよう。

◆中国の一方的な海洋政策で攻勢を進める中、この膨張主義に対して日米両国をはじめ国際社会はどのように対処すべきか。「武には武」では緊張関係は高まりこそすれ、解決の糸口にはなりそうもない。しかし、中国も経済が右肩下がりなりつつある今日、今までの成長路線を見直さざるを得ない時期に来ている。従来ならば弱小国に活路を求め、さらなる膨張を続けることが予想された。しかし世界経済が不透明さを増す今日にあって、衰退している米国はじめロシア、インドなど世界の情勢はこれ以上の中国の膨張を望まない。

◆そうだとするならば、中国の独自路線を止めさせ、既存の国際秩序の中に取り込んで、その価値観の下で徹底的に話し合い、理解を求めていくしか途はなさそうだ。従って「力の支配」による愚かな武力衝突を避け、国際的な法秩序を背景に「法の支配」による平和的な解決へ向けて、人類の英知を結集すべき時が迫っている。中国がこれに応じtれば、中国の安泰、ひいては世界の平和が約束されよう。しかし、そうではなく、あくまで唯我独尊、中華思想を貫き通すとするなら、世界は滅亡へと突き進むだろう。(本稿終わり)

(参考:ダイヤモンド・オンライン 嶋矢志郎氏「中国の尖閣侵入の真の狙い)

2016年10月16日 (日)

中国の膨張主義と国際社会の対応 ーシリーズ3ー

◆中国がこれほどまでの力による膨張主義を貫き通し、その理不尽さが国際社会で罷り通る現状をどう見るべきだろうか。それには現在に至るまでの経緯、及び中国の国境・領土観を正しく観る必要がある。まず、膨張主義の背景には大国化による驕りがある。米露両国に肩を並べる大国になれば、「狙い通り、無理を通せば道理が引っ込む」との国際秩序をないがしろにした傲慢不遜な行動が可能になる。

◆中国は1978年、鄧小平の指導のもと、表向きには改革開放路線を推し進め、先進国の資本や技術を導入、急速に経済成長を成し遂げた。しかしその裏側には「韜光養晦」(とうこうようかい)という考えがあった。即ち、国力が弱い時には野心を隠して周囲を油断させ、力を蓄えるという意味である。日本はじめ多くの先進国はこの時期、中国との友好を旗印に競うように投資を行い、相互に経済的利益を追求した。その結果、中国は2010年には世界第二の経済大国になった。また経済成長とともに軍事費を増強し、今やGDP比で米露両国を凌駕するまでに至った。大国になった現在、鄧小平の後継者達は韜光養晦の時期は終わったと考えるようになった。傲慢不遜な大国のとしての行動はここに生まれた。海洋大国構想然り、AIIBしかり、一帯一路構想しかり・・。 

◆次に国際的には通用しない「中国の領土観」による実効支配を始めた。中国は古来から「中華思想」を根本に持っているが、大国化した今「天下はもともと中国のもの。そのすべてを回収し、取り戻す時」と考えている。領土とは実効支配した領域を指すもので、民族とは関係ない。その証拠に長い歴史の中で「内モンゴル自治区」、「新疆ウィグル自治区」、「チベット自治区」、「広西チワン族自治区」など侵略して領土としてきた。その面積は全中国の半分近くを占めている。さらに通用しないのが、領土観である。中国が歴史上一度でも支配した国、中国に朝貢した国、中国の古典に登場する国なども中国の「領土のうち」になる。琉球(沖縄)や台湾をはじめ、遣隋使や遣唐使も朝貢扱いであり、魏志倭人伝に登場する邪馬台国・日本も朝鮮半島並みの「領土の内」であり、その領土意識は体に染みついているという。

◆中国が膨張主義を押し通す3つ目の理由は国際的な法秩序の劣化であり、脆弱化である。主因は国連安保理の機能不全にある。拒否権を持つ常任理事国が大国の横暴で国際的な法秩序を無視した立ち居振る舞いをしても、拒否権の応酬で相互監視機能が働かず、むしろ大国が相互の牽制合戦で国際秩序を攪乱し、混乱に陥れる元凶になっている。とりわけ、国際社会で一極支配を続けてきた米国の統治力の衰退は否めず、そこに付け込んできたのが中国だった。(続く)

Photo

中国の野望:朝鮮半島は朝鮮省、西日本は東海省、東日本は日本自治区となっている。

2016年10月15日 (土)

中国尖閣諸島侵入、真の狙い -シリーズ2ー

◆中国が南シナ海の実効支配を完成させるための次のステップはフィリピン沖のスカボロー礁だ。ここに人工島を完成させればパラセル諸島(西沙)、スプラトリー諸島(南沙)を結んで強固なトライアングルの基地が完成し、南シナ海の制海権・制空権を完全に掌握する。すでにスカボロー礁で、建設の準備に着手する兆候は見られており、懸念されるところだ。親中の素振りを見せるドゥテルテ比大統領を甘い言葉で籠絡することは簡単だろう。そうなれば航行の自由を求める日米豪等にとっては大変な脅威となる。

◆南シナ海の実効支配の先にあるもの、それは東シナ海の完全掌握だ。そのために尖閣諸島の実効支配に執着している。中国は何故そこまで尖閣諸島にこだわるのか。その狙いは沖縄トラフ(海溝)にあることが明らかになってきた。中国が尖閣諸島の領有権を公言し出したのは、国連機関による石油資源探査が始まった1960年代以降であったため、当初は海底資源が狙いと思われていたが、狙いははるかに野心的で、安全保障上の軍事戦略拠点としての沖縄トラフが垂涎の的だと言うのである。

◆中国は戦略原子力潜水艦を少なくとも4隻保有していながら、その身を潜めて守るだけの深い海を持っていない。沖縄トラフは九州の西側から台湾の北側まで、南西諸島と琉球諸島の西側に沿った円弧状の海底盆地で、全長約1000km、幅約200km、水深は2200mに及ぶ、東シナ海では最深の海域である。尖閣諸島はこの海底盆地の南西に位置する。この盆地を挟んで宮古島や石垣島が並び、その間を密かに潜航すれば広大な太平洋にも自由に出入りが可能という地政学的にも重要な海域なのだ。

Photo◆この水域内に自国の領土・領海を多少でも確保することにより、他国の手出しを封ずることができる。そのために絶好の位置にあるのが尖閣諸島なのだ。水深は500m、12海里離れた領海の水深は1200mで、沖縄トラフの水深2200mには及ばないが、中国本土周辺の200mに比べれば、原潜にとってはるかに有利だ。尖閣諸島は沖縄トラフに通じるいわば橋頭保なのである。中長期的な狙いでは、「太平洋の米中二分論」で管理、監視する野望を持っており、その布石として押さえておきたい海であり、島なのである。

◆日本人はこの尖閣諸島の重要性を軽く見ている節がある。中国はその気になればいつでも、漁民・民兵を使って上陸・占有することは可能だ。ただ世界の世論の動向を気にしているだけで、その機をじっと狙っているという段階だろう。例えば万一トランプが大統領になればチャンス到来と見るだろう。日本を含め国際社会は中長期的な戦略で、中国の膨張主義と厳しく向き合い、国際秩序の中へ封じて、取り込んでいく必要に迫られている。(続く)

2016年10月14日 (金)

中国尖閣諸島侵入、真の狙い ーシリーズ1 ー

◆本年7月、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は「国連海洋法条約」に基づき、南シナ海の領有権問題を巡るフィリピンの訴えを認め、中国の領有権の主張を否定した。中国はこの決定を認めないばかりか「紙くずに従う必要はない」と強弁。引き続き「国際秩序」に挑戦する実効支配の手を緩めず、エスカレートさせている。本来この判決を歓迎すべきアセアン諸国は、なんと中国側のアメとムチによる事前の切り崩し工作の前に、「長いものには巻かれろ」とばかり腰砕けに終わり、もともと提訴したフィリピンは変わったばかりのドゥテルテ大統領が反米・親中姿勢を見せるなど、ますます中国を図に乗せている格好である。

◆日米両国が「国際法の支配」を掲げ、中国を牽制し、圧力をかけても強権中国は「屁」とも思わないかのように、逆に東シナ海のガス田開発を推し進め、日本を標的にして、尖閣諸島周辺海域へ数百隻の漁船と公船が領海侵犯を繰り返し、神経戦に持ち込んでいるようだ。読売新聞がこの大量の漁船集団の実態を福建省の漁港で取材し、記事にした。

◆毎年8月頃に、漁民は船団を組んで尖閣諸島周辺に漁に行く。だが尖閣周辺に行くには一度の漁で約150万円以上の燃料費が掛かると言う。地元当局は船団を組織して「補助金」を支払う。ある漁業関係者は「補助金が出なければ尖閣には行かない」と語った。今年7月以降特に多いのは、日本が南シナ海における仲裁裁判所の結果を世界に向けて発信していることへの「法律戦」への布石と見られることだ。

◆習近平は「いま、何もしなければ、将来ただ歴史の資料の山が残るだけ。行動をとれば争議のある状態が保たれる」と各部門に行動を起こすよう指示したという。これに基づき中国の最高裁は尖閣諸島周辺や南シナ海は中国の国内法が適用される「管轄海域」だとする司法解釈を発表。その後、尖閣海域では、中国海警局の公船が漁船を臨検するような、いかにも日本の海保に見せつけるような場面が見られるという。

◆懸念されるのは漁船に紛れた「海上民兵」の存在だ。福建省の漁民達は「民兵の船は漁場に着いても漁をしないので、どれが民兵の船かすぐに分る」と言う。日本の海保の関係者は「武装した民兵を含む数百隻、数千隻の漁船が大挙して領海に侵入した場合、海保だけで対応することは不可能だ」と言う。中国の膨張主義、とりわけ海洋進出戦略は、今後とも拡大の一途を辿ることは必至だ。日本はもっと危機意識を持って戦略を練らねばならないことは間違いない。中国の真の狙いはどこにあるのか?次回以降に考察してみたい。(続く)

1
 尖閣諸島

2016年10月 8日 (土)

サツマ芋堀りと石窯ピザ焼き体験

◆ようやく秋らしくなった昨10月7日、うす曇りで時折日が射す中、シルバー仲間たちと神奈川県大井町の農業体験施設四季の里」を訪れた。場所は東名大井松田I.Cから3kmほどの丘陵地にある「いこいの村」の中。まず、サツマ芋(紅アズマ)を一人2kgほど収穫する。かつて取手に住んでいた頃、自宅の庭に家庭菜園を作り、サツマ芋も栽培したことがあったので、どうということもなかったが、地元の幼稚園・小学校をはじめ、東京方面から来ることもあるそうだ。

◆芋堀りを数分で終え、次に施設の方で用意したピザ作りを体験する。予め用意された素地から200gほどを切り取り、丸く伸ばすことから始める。蕎麦と違って伸びてもすぐ縮みやすいところが難しい。片手でクルクル回そうなんて考えていたが、とんでもない。続いてトッピッグ用の玉ねぎ、ピーマン、ミニトマト、ナス、ベーコン、ウィンナを手分けして切り分ける。最近包丁を握っていないので、傍らで見ていてどうも危なっかしいらしい。丸く伸ばしたはずの素地がデコボコして形が悪いが、なーに味に変わりはあるまいと自分に言い聞かせる。素地を金網に乗せ、トマトケチャップを適当に伸ばして、切り分けたトッピング類を適宜乗せる。最後に粒のトウモロコシとチーズを乗せて、ピザ焼き職人が400度程に熱したピザ窯で焼き上げる。1枚が2~3分ほどだから思った以上に短時間だ。焼きあがったピザを8分の1もしくは6分の1に切り分ける。

Photo◆丸テーブルを二つ並べ、椅子を囲むように置いて、焼き立てのピザを試食する。思った以上に美味しく焼けていた。もともとイタリアンのピザ、パスタなど自分から進んで食事に行く方ではないが、幹事さんが用意してくれたビールとおつまみのお陰で3、4ピースほどお腹に収まった。満腹状態でミニ昼食会が終わり、野菜の直売所を覗く。10人ほどの生産者の顔写真が張ってあって、取り立ての野菜が並べている。安くて新鮮なので、思わず手が出てしまう。玉ねぎ、カボチャ、ナス、生しょうが、里芋、生落花生、柿を買い求めた。自分で掘ったサツマイ芋とピザの持ち帰り分とを合わせて約10kgの重量となった。満足のいく半日であった。
2 Photo_2

3 
写真は「四季の里」HPより

2016年10月 5日 (水)

黒澤監督作品「生きる」に感動

Photo◆雪の降る夜、公園のブランコに揺られて、「ゴンドラの唄」を口ずさむ初老の男性。この名シーンは眼に焼き付いて離れない。TVで何度か見て、ストーリーは分っているつもりでいたが、劇場映画としてデジタル映像と音声で鮮やかに蘇った名画「生きる」を全編通して(143分)鑑賞し、改めてこの映画の素晴しさに感動させられた。「人間」は同じ作品を観ても、その時の年齢、立場、環境等によって受け止め方が大きく異なることを実感。

◆東宝が全国で展開している「午前十時の映画祭7」で、現在上映中の「生きる」(昭和27年・1952作)を鑑賞してきた。粗筋は書くまでもないが、癌を宣告され、余命幾ばくもないと悟った市役所勤務のしがない課長である主人公(志村喬)がこれまでの無意味な人生を悔い、最後に市民が要望しながら、なかなか実現しなかった小公園の建設に奔走する。死を目前にして体の不調も省みず、活動する真摯な姿を描いたヒューマンドラマだ。同時にお役所仕事に代表される官僚主義、形式主義を批判した社会派ドラマでもあることを今回改めて認識した。「日本映画史上ベスト・テン」(キネマ旬報発表)に何度もランクされ、各種映画賞を受賞し、内外ともに評価の高い傑作であることに納得がいく作品である。

Photo_2◆「ゴンドラの唄」を歌うのは、雪の公園のブランコに揺られたシーンだけではなかった。「死」への不安から、これまでの自分の人生の意味を見失い、貯めた金をおろして、居酒屋で知り合った三文小説家(伊藤雄之助)の案内で、夜の街をさまよう。昭和26、27年当時の場末の居酒屋から、パチンコ、ダンスホール、キャバレー、ストリップ劇場などの姿が描かれている。銀座の大きなキャバレーと思われる店で、ブーちゃんこと市村俊幸が演じるジャズピアニストが弾くチャールストン、ブギウギなどの陽気なリズムに合わせて嬌声が飛び交うシーンは戦後わずか6、7年しか経っていないのに、ここまでアメリカナイズされていたのかと、日本という国の変わり身の早さに驚かされる。

◆市村が客にリクエストを求める。志村が押しつぶされたような声で「いのち短し・・」とつぶやく。市村は場違いと思いながら、ジャズ風にアレンジした「ゴンドラの唄」を弾き始める。しわがれ声でしみじみと歌いだす志村の歌声に店内は静かになり、ブルースを踊り出す客も現れる。歌いながら志村の眼に涙が溜まり、ツーっと一滴頬を伝う。この辺も泣かされるシーンだ。


【ゴンドラの唄】
 (作詞:吉井勇  作曲:中山晋平  大正4年)

いのち短し 恋せよおとめ  朱き唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日のないものを

いのち短し 恋せよおとめ  黒髪の色 あせぬ間に
心のほのお 消えぬ間に  今日はふたたび来ぬものを

2016年10月 3日 (月)

3年連続ノーベル賞受賞

◆今年のノーベル賞は生理学・医学賞部門で東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏の受賞が発表された。日本人として大変喜ばしく、若手研究者の励みとなるだろう。実は大隅さん以上に有力視されたのが「新たながん免疫療法の道を開いた」と高く評価された本庶佑ほんじょたすく)京都大名誉教授、同じくがん治療の免疫療法の基礎研究の坂口志文大阪大特任教授も有力視されていた。この他にも水島昇東京大教授、森和利京都大学教授も候補に挙がっており、来年以降の受賞が期待される。

◆明日発表される物理学賞部門では十倉好紀理化学研究所センター長と細野秀雄東京工業大教授、またネオジム磁石を発明した佐川真人大同特殊鋼顧問も有力視されているという。5日発表の化学賞部門ではリチウムイオン電池の発明に関与した東芝リサーチ・コンサルティング水島公一氏、旭化成の吉野彰氏、元ソニーの西美緒氏の受賞が期待されている。また「光触媒」を開発した藤嶋昭東京理科大学長も有力候補とされている。その他にも有機合成の分野では向山光昭東京大学名誉教授、山本尚中部大教授、柴崎正勝微生物化学研究所長、村井真二大阪大名誉教授の名前も挙がっており目白押しだ。

◆一度に皆は無理だろうが、長年に亘る基礎研究が花開くときであり、日本の研究レベルの高さを物語っている。但し、最近では研究者の道へ進む若者が減っているという。20年後、30年後、果たしてどうなっているだろうか。国も長い目で見て、基礎研究に対する支援を増やしていくべきだろう。中国や韓国がノーベル賞の受賞者がでないと焦っているが、最近では米国への留学生が日本を上回り、研究者を増やそうとしている。20年後、30年後はどうなっているか分らない。
Photo

« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »