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2016年8月29日 (月)

「たのしみは~とき」

◆日本人より日本のことをよく理解していると言われる東京大学教授で、日本文学研究者のロバート・キャンベルさん。穏やかな語り口調で、クイズやバラエティ番組にも出演、親しみやすい学者さんだ。そのロバート・キャンベルさんが先日読売新聞コラムに「知識の先の想像自ら考える場に」という示唆に富んだ一文を寄稿していた。その中で「東大生は聞かれたことには速やかに的確に回答するが、聞かれたことの意味を考え、それを伝えることが苦手な学生もいる。正しい答えをだすだけではなく、答えの裏にある背景を俯瞰的に見る能力を育てるのに、道徳が重要になってくる」と記述していた。

◆その一例として、学生たちの教材に「橘曙覧たちばなのあけみ)」という幕末の歌人(1812~1868)の一連の歌を編纂した『独楽吟』(どくらくぎん)を使った。どの歌も「たのしみは」で始まり、「~とき」で終わる歌である。1994年今上天皇、皇后がアメリカを訪問した時、ビル・クリントン大統領が歓迎の挨拶の中で、この中の一首「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時」を引用してスピーチしたことで、その名と歌は再び脚光を浴びることになったという

◆キャンベルさんは学生たちに一例として「たのしみは あき米櫃(こめびつ)に米いでき 今一月は よしといふとき」を紹介して、「ひと月はこれでよしだ、と詠んだ人の状況はどうなのか」と聞くと、なかなか言葉が出てこないという。戦後育った私には、米櫃の底が見えだす頃の心細さと、取りあえずひと月分入った時の安心感は、子供心にも十分理解できる状況であった。今の学生に想像せよと言っても、第一米櫃自体を知らないのかもしれない。知識を身に着けることは大切だが、その先にある世界を想像するには裏にある背景を俯瞰的に見る能力を育てること、そのためには道徳が重要になってくると言うのだ。まさにその通りで、東大生はこの国を動かすエリート集団になっていくだろうが、その根本には血の通った道徳心がなければならない。

◆清貧の中で、家族の暖かさや、小さな喜びを描いた橘曙覧。その作品をいま少し見てみよう。
・たのしみは 妻子
(めこ)むつまじく うちつどひ 頭(かしら)ならべて 物をくふ時
・たのしみは 空暖
(あたた)かに うち晴れし 春秋の日に 出(い)でありく時
・たのしみは 物識人
(ものしりびと)に稀にあひて 古(いに)しへ今を 語りあふとき
・たのしみは まれに魚煮て 児等(こら)皆が うましうましと いひて食ふ時
・たのしみは 庭にうゑたる春秋の 花のさかりに あへる時々


◆素直に自分の気持ちを表せば意外にできるもので、駄句ながら今まで作った中から3首ほど。(何たる道徳心の低さ!)
・たのしみは 湯上り後の 缶ビール 五臓六腑に 沁み渉るとき
・たのしみは 日本選手の メダル数 朝刊開きランク見る時 
(リオ五輪の際)
・たのしみは 毎朝開く 掲示板 花の青春 見つけたる時
 (高校同期会HPで)

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