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2016年5月 3日 (火)

レッテル貼り合戦はもう止めよう(下)

◆不毛の憲法論議は止めて、日本を代表する真の知識人達による「日本の将来を見据えた憲法はどうあるべきか」のテーマで、掘り下げた議論を国民の前で、分かりや易く、じっくり展開してもらいたいものだ。そこで最もふさわしい人物の一人が東京大学名誉教授の北岡伸一氏だと思う。国連大使などを経て現在JICA理事長。民主党政権の際も、自民党政権の時も政府の有識者会議のメンバーを務めた。氏はしばしば、テレビや新聞で、歴史的、国際的見地から達見を述べているが、先日読売新聞に寄稿した「民進党と安保政策」の2300字ほどの論文は大いに共感を覚えた。

◆その中で特に共鳴したのが、日本は日露戦争から約20年後、世界的に燃料が石炭から石油に変わった時に、戦略を大きく転換すべきだったと言う部分だ。輸入に頼らざるを得ない日本は海外との共存の道を選ぶしかなく、それを選んでいれば滅亡の道は避け得たかもしれない。即ち「法的にも軍の独立性を定めた統帥権の独立を修正すべきだった。つまり憲法解釈の修正が必要だった。このような柔軟な憲法解釈を主張していたのが美濃部達吉だ。天皇機関説事件(注)はこのような美濃部の『解釈改憲』を批判したものであって、憲法原理主義者が日本を滅びしたのである。私には現在の原理的護憲論者は美濃部を批判した人々と同じに見える」と述べている。つまり原理主義的護憲論者は日本を滅ぼしかねないと指摘しているのだ。よくよく考えなければならないことではなかろうか。

(注)天皇機関説・・国家学説のうちに、国家法人説というものがある。これは国家をひとつの法人だとみる。国家が法人だとすると、君主や、議会や、裁判所は国家という法人の機関だということになる。この説明を日本にあてはめると、日本国家は法律上はひとつの法人であり、その結果として、天皇は法人たる日本国家の機関だということになる。これがいわゆる天皇機関説である。(宮沢俊義『天皇機関説事件』より)

◆この説は天皇神格化進める軍部にとっては、到底受け入れることはできない国賊的危険思想であった。しかしそのことが結局日本を滅ぼしたことに繋がっていったことはその後の歴史が示していることはいうまでもない。(終わり)

Photo_2 戦艦武蔵

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