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2015年10月19日 (月)

軽減税率を考える(上)

◆2017年4月に消費税を8%から10%に引き上げる際に、軽減税率を適用するかどうかで揉めていたが、ここにきて景気のこと、選挙のことなど政治判断が働いたのか、総理のひと言で適用する方向に動き出したようだ。問題は①どの品目に適用するか(線引きの問題)、②零細業者の事務処理負担の問題、この2点に絞られてきたようだ。

◆まず、2%UPした場合の税収は年5.4兆円増える見込みだが、酒類・外食を除く全ての飲食料品を8%のまま据え置くと、1兆円の減収になるという。その分社会保障に回す財源が不足することになり、影響は大きい。財務省は極力適用範囲を絞りたいが(例:精米だけでは400億円)、低所得層の痛税感を和らげるためには生活必需品(特に食料品全般)に軽減税率を適用しようというのが大方の流れのようだ。欧州では外食と一般食料品との税率が異なったり、複数の税率が存在することは当り前のようだ。要は高福祉・高負担を求めるのか、低福祉・低負担にするのか、日本が目指している中福祉・中負担にするのか、その国の国民が決めることだ。

◆国の借金が1000兆円を超える現在の日本においては、財政健全化の具体策を世界に示すためにも、消費税増税は避けて通れない。どの品目に軽減税率を適用するかの線引きの問題は、例えば欧州辺りでは店内で食べれば外食、持ち帰れば一般食品などとややこしい方式があるようだが、日本の場合グレーゾーンをどうするかなど、細かい議論に陥って、暗礁に乗り上げ、結論がなかなか出せないケースが多い。

2010_1110◆消費税は高額所得者も同じ税率だから、逆進性を指摘する向きもあるが、高額所得者は所得税の高負担が求められており、所得に応じて高額商品を購入することが予想されるので、同じ税率でも税額は増えるだろう。線引きの問題は個々の意見をいちいち聴いていたのでは埒があかない。ある段階で最終的には政治のリーダーシップで、決断するしかない。線引きが困難だから決定できないというのは、結論を先送りするためのいい訳に過ぎない。将来消費税を15%、20%に引上げする必要が生じた場合には、複数税率の存立は必ず必要になってくるだろう。それを見越して今から手を打っておくことは先を見据えた策と言える。

◆かつて間接税の一種の「物品税」というものがあって、贅沢品にはより高い税率が掛けられていた。具体的には宝石、毛皮、電化製品、乗用車、ゴルフクラブ、カメラ等に適用され、それなりに効果があって、我が国の「物品別間接税」は世界に先駆けて導入したものだ。現在欧米で導入されている物品別軽減税率は日本のこの間接税システムを真似したものと謂われる。しかし、時代の様式が変わり、車は大衆に普及、電気製品は当り前、ゴルフは大衆化、まさに生活様式は戦後とは大きく変化した。どこまでが贅沢品で、どこから大衆向けか線引きが難しくなった。こうした時代の変化に適応して、1989年(平成元年)4月1日、消費税法施行に伴い物品税は廃止されたが、いわゆる高額所得者が購入する贅沢品(毛皮、宝石、高級車等)には高めの税率の消費税を設定しても良いのではなかろうか。(続く)

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

“我が国の「物品別間接税」は世界に先駆けて導入したものだ。現在欧米で導入されている物品別軽減税率は日本のこの間接税システムを真似したものと謂われる。”
そうだったのですか。勉強になりました。
軽減税率に関する当論文に全面同意。ただ、現下において増税が果たして適切か?疑問。
自今、ご好誼のほどよろしくお願い申し上げます。

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