« 今日から6月 | トップページ | 憲法学者の意見と現実政治のギャップ »

2015年6月 3日 (水)

長江の客船転覆報道規制、吉と出るか凶と出るか

◆三国志の舞台にもなった湖北省荊州の長江で、大型客船が6月1日夜、強風を受けて転覆した事件。未だ400人以上の安否が確認されていないという。事故原因は船体構造の問題とか、悪天候下の運行判断とかいろいろ言われている。いずれはっきりしてくるだろうが、体制批判を招くような結果にならないことだけは確かだろう
問題なのは、事故直後から中国メディアが珍しく事実を隠さず報道していたのに、二日も経ったら共産党政権は体制批判に繋がる事を恐れてか、報道規制を行うようになり、家族すら現場に立ち入らせないという。中国の言論統制は今に始まったことではないが、言論弾圧や報道規制を敷いた国が長続きしないことは古今東西の歴史が証明している。


◆しかし、中華人民共和国成立以来66年、共産党1党独裁体制は政権内部の権力抗争はあっても、文化大革命、天安門事件を経て、その基盤はますます強固になった。GDP世界2位になった習近平体制下にあっては、ますます言論統制を強めているようだ。これはひょっとして歴史の教訓に反して、言論の自由を否定した政権が案外長期化しそうな雰囲気でもある。何故なら、少しでも体制批判に直結しそうな兆候があれば、モグラ叩きよろしく、片っ端から出る杭をうち、少しでも芽を出せば、小さいうちに摘み取る方策を網の目のように張り巡らしているからだ。現状では全く反抗する余地すら見えない。大衆にはそこそこ食えるだけの経済力を与えておけばよいのだという指導層の慢心が見えてくる。

◆習近平政権は弾圧すべき対象を「新・黒五類」と称して悪者に仕立て上げ、徹底的に叩く方針を貫いている。即ちその第一は、「人権派弁護士」グループで、約27万の中国弁護士のうち数百人程度が人権派と言われるが、当局からの極端な妨害、嫌がらせによって身を引く若手も現れたという。第二はキリスト教などの「地下教会の信者ら」のグループ、第三は「体制への批判者」グループ、第四はブロガーなどの「ネットリーダー達」、第五は陳情者などの「弱い立場の群衆」で、海外から援助を受ける草の根の非政府組織、ウィグル族やチベット族など政権に不満を持つ少数民族にも眼を光らせている。

◆これでは鉄壁の防御であり、正義も何もあったものではない。ただ、世の中の乱れは経済の破綻から始まることが多い。中国は生産過剰で不況に見舞われる北部沿岸部を抱え、現代版シルク・ロードと称して「一帯一」政策を打ち出し、海外諸国を巻き込んで世界に打って出る大戦略を描いている。果たしてこの戦略が「吉」と出るか、「凶」と出るだろうか?

« 今日から6月 | トップページ | 憲法学者の意見と現実政治のギャップ »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1299847/60243619

この記事へのトラックバック一覧です: 長江の客船転覆報道規制、吉と出るか凶と出るか:

« 今日から6月 | トップページ | 憲法学者の意見と現実政治のギャップ »

2016年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ