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2015年2月13日 (金)

現代中国を象徴する二つの事例(前)

読売新聞に「世界深層」というシリーズの特集記事がある。その中で昨年12月17日と今年2月11日に掲載された中国に関する記事が興味を惹いたので、論評したい。
◆まず「中国巨大運河 環境破壊懸念」という記事だが、「南水北調」という言葉があるそうだ。首都北京がある北部はもともと雨量が少なく、水不足に悩まされてきた。一方、南部の長江流域は降水量が多く、中国水資源の約8割は南部に集中する。そのことから中国南部の水を北部へ運ぶ事業を「南水北調」と呼ぶそうだ。長江の支流のひとつ漢江をせき止め、丹口ダムを建設、そこから北京まで全長1400km、幅50mの運河(中央ルート)を建設、途中黄河の下をトンネルで通したというから驚きだ。

◆発端は1952年、毛沢東の発言を受け、大プロジェクトがスタート。60年の歳月と総事業費3兆8千億円の費用をかけ、昨年12月に送水を開始した。もっとも中国歴代王朝は4000年前から大規模な治水・利水事業や運河の建設を進めてきた。1994年には長江流域に世界最大級の「三峡ダム」を建設、歴史的遺産を水没させ、生態系への影響が懸念されている。歴史を辿れば明の時代に「万里の長城」を完成させたほどだから、中国にとって大土木事業はお家芸のようなもの。

◆しかし現代においては、汚染対策や管理費用の面からも、簡単な「パイプライン方式」を推す意見も多かったというが、当時の江沢民や共産党指導者は、「目に見える運河でなければ意味が無い」と中国統治者としての歴史の本能が働いたと指摘する専門家もいる。つまり共産党の強大な国力を「権威の象徴」として見せつける意思が働いたものだという訳だ。

◆この大事業の結果はどうなったか?実は建設当時から様々な問題が露呈してきた。まず大運河の工事のため多くの農民、住民が移転を余儀なくされた。そして水源地である漢江の水量の24%が北部へ運ばれる結果、専門家は下流域の枯渇を予測する。すでに魚類が減少するなどの異常現象が起き、自浄作用が低下、地元政府は流域の汚染対策に躍起となっており、いずれ漢江は死ぬと予測している。それだけではない。南水の供給を受けても北京の水不足は根本的解決にはならないという。北京の年間水使用量の58%は地下水の汲み上げによるもので、中央ルートの送水分は33%ほど、残り9%は慢性的に水不足だという。

◆さらに、運河の補修費、警備費などの維持管理費は膨大なもので、政府の財政の圧迫要因になっている。最大の懸念事項は「環境破壊」の問題で、政権幹部は先行きの暗さを見てとり、完成の式典は行わず、水質汚染対策や節水を呼び掛ける「重要指示」を出した。また同時に計画された長江と黄河の上流同士を連結する「西ルート」は、着工の目途さえ立っていないという。要するに中国という国は歴代皇帝が支配した封建王朝時代から共産党という一党独裁体制に衣替えしただけで、本質的に何ら変わっていないということをこの事例は示していると言えるのではなかろうか。(続く)

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