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2015年2月14日 (土)

現代中国を象徴する二つの事例(後)

◆もうひとつの事例は「中国遊園地 国産に力」という記事で、中国産テーマ・パークの実態についてレポートしている。中国にも大小2500の国産テーマ・パークがあるそうで、収支は「赤字7割、黒字1割、トントン2割」と云われる。苦戦の最大の理由は独自性や創意工夫が乏しいことで、過去20年で8割が倒産したとも云われている。しかしテーマ・パークは日本や韓国、香港の例を見るまでもなく、中国政府は2020年には利用者は10億人に達すると見込み、将来の成長産業と位置付ける。いつまでも外資の攻勢に晒されるだけでなく、中華民族の威信にかけても独自ブランドの育成に注力しているという。

◆既に中国では香港ディズニーランド(05年営業)が開業し、15年には北京でユニバーサル・スタジオが着工(19年開業)、浙江省にハローキティパーク(15年に一部開業)、また16年には上海に上海ディズニーランドの開業が予定されている。こうした流れに「中国で世界水準のテーマ・パークが楽しめる新時代の到来」と歓迎する向きがある反面、中国政府は西欧の価値観の浸透が「一党独裁体制」を脅かすという習近平政権の警戒感があるのも事実だ。

◆習近平は「製造から創造へ」と大号令をかけ、独自ブランドの確立に懸命になったいるが、中国のある社会学者は「テーマ・パークとして成功するには十分な人材、資本、工夫が必要だが、まだそのレベルに達していない」と指摘する。確かに模倣社会の中国ではディズニーのキャラクターやドラえもん、ハローキティなどに類似したぬいぐるみやグッズを造り、「著作権侵害」で告発された。また映画村では実物大のスフィンクスのレプリカを造り、エジプト政府がユネスコに訴えた。日本の富士急ハイランドの人気アトラクションの模造施設を造った業者が摘発されたりした。

◆独自性や創造力を高めるには型にはまらない自由な発想が必要だ。2013年の中国のアニメ・漫画関連産業は約4600社、就業人数22万人、総生産額1兆6500億円に達するという驚きの数字だが、関係者は「教育的な要素が優先され、自由な発想は難しい」と嘆く。即ち、中国政府は一方で「創造部門で独自ブランドを」とハッパをかけながら、一方で「西欧の価値観が浸透すれば、体制維持を危うくする」というジレンマを抱えているのだ。これではいくら国内産を優遇しようとしても、国民は西欧や日本産の本物の魅力あるものに流れていくのは自明の理だろう。そうした中で模倣は「悪だ」というモラルが国民に浸透し、自由闊達な競争社会の中で才能が磨かれてこそ、中国独自のブランドが生まれてくるだろう。但し、それが世界中で受け入れられるか、どうかは別物だが。(終り)

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