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2015年1月28日 (水)

続・「日・中」漢字の話

◆日本は明治以降、いち早く西欧文明・文化・思想を取り入れた。そして書物を翻訳する必要から大量の和製漢語を創出してきた。中国は日清戦争のまさかの敗北で近代化の必要性を認め、留学生を海外に派遣するようになる。欧米諸国にも派遣したが、最も多かったのが漢字文化圏である日本だった。日清戦争の翌年1896年の13名から始まり、四半世紀に亘って毎年平均5000名の留学生が来日し、その数合計10万人を超えた。この大量の留学生が持ち帰ったものが現在の中国文化の基礎を作ったのだと宮脇さんは云う。何故なら、漢字文化圏の日本でできた言葉だから何となく理解できる。これは便利だということになった訳だ。

◆もっとも、中国でも自分達で西洋の翻訳語を作ろうとした。「徳謨克拉西」(デモクラシー)、「賽因斯」(サイエンス)等が作られたが、主として「計学、資生学」(エコノミクス)、「理学・智学」(フィロソフィ)、「群学」(ソシオロジー)、「格致学」(フィジックス)、「玄学」(メタフィジックス)など古文献から採用した借用語に頼ろうとした。しかし中国の古典からの引用はそもそも西洋の新しい概念とは異なり、かなり無理があった。結局日本製の「経済学」、「哲学」、「社会科学」、「物理学」、「形而上学」にとって代わられた。

◆問題なのは、日本語で正確に文意を伝える上で大切な「てにをは」だが、それに該当する中国語は本来なかった。曖昧な従来の漢字の羅列では用を為さなくなった。そこで所有を表す日本語の「~の」を「的」に、位置を表す前置詞「~に」は「在や里」などを当てるなど様々な苦労をした。さらに日本語に倣い、「西洋」、「中国」、「優越」、「新」、「必要」、「文学」、「生産」、「価値」等の用法を使って語彙を増やし、それまでとは比較にならないほど、緻密さと論理性が加わるようになったという。

◆よく知られているように「中華人民共和国」という最も基本的な国名にしろ、「人民」も「共和国」も和製漢字であるし、「共産主義」も、「社会主義」も、「改革・解放」も、「同志、進歩、思想、理論、階級」など、中国共産党が好んで使っている言葉はどれも日本人が西洋の言葉を翻訳して作ったものだという。
宮脇淳子さんは、主な和製漢語を一覧にして分類。約440余の例を挙げている。特に政治・経済・社会、軍事・外交、学問・教育・学術用語、医療、芸術など日本でごく当たり前の多くの語彙が現代中国で使われている。これらに該当する語彙がわずか100年余前まで中国には無かったということに驚かされる。


◆この差はどこからきたのか。評論家の黄文雄さんは次のように分析する。「それはつまり異文化摂取の姿勢の差に他ならない。即ち、融通無碍な日本人は西洋文化を自分達の「血と肉」にしようという意欲に溢れ、多くの「新造語」を生み出した。一方、自国文化に固執する中国人は、中国伝統の文化をもとに西洋科学の技術のみを取り入れるという、極めて傲慢にして安易な姿勢であった。その差が日中両国の近代化の差になって現れたと指摘する。しかし、現在の中国は「口で云うより手の方が早い」で、軍事力にものを言わせる姿勢のみ目立つ。日本から学んだことなど「どこ吹く風か」・・。嗚呼。

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