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2014年5月18日 (日)

集団的自衛権問題を考える

◆安倍総理が集団的自衛権の限定容認へ向けて「憲法解釈見直し論議」を進めるべく記者会見を開いた。国民を説得するにはイマイチの感があったが、早速国会周辺では「戦争反対!」、「憲法改悪反対!」などと鳴り物入りで大騒ぎが出る始末。メディアは国会議員や知識人と言われる人達を集め議論百出、予想通りの現象ではあるが・・。この問題は国家の将来に関わる大問題であるが故に、大局的見地から感情論を排し、冷静に取り組まなければならないことは確かだ。まず日本が依って立つべき基盤とは何だろうか。それは憲法の前文に明確に書かれている。

◆表現は翻訳調で分かりにくいが、要は「日本は絶対平和主義を守り、国際社会において、名誉ある地位を占めるのだ。そのため戦争は絶対にしないのだ」と高らかに謳っている。次に「どのような国家であっても、自国のことにのみ専念して他国を無視してはならないし、政治道徳の法則は普遍的なものであるが故、自国の主権を維持し、他国と対等で良好な関係を築くのだ」と一国平和主義はとらないことを謳っている。

◆日本はこの平和憲法施行後、一人たりとも戦争による犠牲者を出していない。今の日本で、マジに戦争をしたいと思っている人がいるだろうか。何のためにどこと戦争したいと思っているのか。今、最も戦争を避けたいと思っているのは他ならぬ自衛隊員達だという。最前線に立つ人ほど恐怖を肌で感じているからだろう。「安倍さんの集団的自衛権の憲法解釈変更が日本を戦争のできる国にしようとしている」と悪いイメージのみ喧伝している一部の政党、マスコミ、識者がいるが、あまりにも本質を見落とした見方のように思う。この憲法の大精神まで変えようとする人がいるなら、日本はおろか世界中から指弾されてしかるべきだ。

◆そこで憲法は9条1項、永久的に戦争の放棄を掲げ第2項でその目的を達するため、陸海空軍、その他の戦力は保持しない。国の交戦権は認めないと規定した。これを文字通り読めば、自衛隊は陸海空戦力ではないのかと疑問視されて当然なのだが、この疑問を解消したのが、1950年に「主権国家が自衛権を持つのは当然だ」と当時の吉田茂総理が180度主張を変えて、憲法解釈の変更で自衛隊を合憲化した

◆今回の集団的自衛権の憲法解釈変更についても、本来ならば、9条第2項も含めて、第96条に規定された「憲法改正の手続き」に沿って、国会の議決を経て、国民投票に付託するのが本筋だろう。しかし、それを待って憲法を改正しようとするならば、何十年かかるか。今は中国が南シナ海でベトナム、フィリピンを相手に強権を駆使して領有を既成事実化している。その矛先が明日にも尖閣諸島に向けられるかもしれない。あまり悠長な事は言っていられないのだ。

◆このように、日本にとって不都合な事態は想定したくないのか、あり得ないと楽観しているのか、「抵抗したら戦争になるから、しょうがない、黙って見ているしかない」と諦観しているのか。それこそが、憲法の前文に謳った精神に反してはいないだろうか。またこうした事態に陥って、民主党政権みたいにオタオタして「どうしよう、ああしよう」と評定を始めても、もう遅いのだ。今「戦争反対」、「憲法改悪反対」などと扇動されている人達は、このような有事になって始めて「政府は何をしているのか、国民の生命と財産を守るのが政治の役目だろうと」と騒ぐように思えてならない。

◆一部の知識人と言われる、所謂「朝日岩波文化人」と言われる人達は吉田元総理の憲法解釈変更の際も「保守反動」等と厳しく政府批判を繰り広げた。60年の歳月を経て「戦後の平和と繁栄の基礎を築いたのは吉田茂だ」というのが戦後史の通り相場となっている。(読売新聞より) もちろん尖閣諸島有事に備え、あらゆる事態を想定して、まずは我が国一国で対応すべく法整備が必要だ。そのうえで日米安保に基づき、米国の応援を求めざるを得ないだろう。そこで集団的自衛権行使の問題も想定される。日本は憲法で謳った戦争放棄を大前提として、そのために外交努力により戦争を未然に防ぐ集団体制を築いたうえ、最後にいざという場合を想定して、手を打っておくことこそ、政治家としての当然の責務ではなかろうか。

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