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2014年3月 2日 (日)

TPP交渉を考える(後半)

◆しかしながら、現状の日本の零細農業を個別補償などの制度で維持していくことに、無理があるのは明白だ。農業従事者の高齢化、後継者不足などは云われ続けて久しい。むしろTPPを好機と捉え、日本の農業の基盤強化を図るべきだ。そのためには、規制緩和を進め、農業法人へ積極参加、大規模集約化を目指すべきだろう。また、例えば天候に左右されない、農業工場をイメージして、コストを下げ、競争力を高めるべきだ。少々の価格差は食の安全と品質でカバーし、日本ブランドで世界と勝負すべきだろう。

◆一方、地場産の野菜作り、米作りにこだわる若い世代が増えることは結構な事。生産者と消費者を直結する彼らの動きは地産地消としてますます重要になるだろう。行政も参加しやすいように資金面その他で支援する環境を整えることも有効だ。
農産物5品目の関税撤廃は、いきなりでは無理だ最短でも10年ぐらいの時間をかけて、段階的に引き下げ、その間に日本の農業の基盤強化を図るべきだ。最終的には農業を輸出産業に育てるという長期的な国家戦略を描く必要があるのではなかろうか。


◆もうひとつの大きな争点は自動車の分野。日本は完成車に対する輸入関税は1978年に撤廃しており、税制上は世界で最も解放された自由市場となっている。ところがアメリカは乗用車に2.5%、トラックに25%、自動車部品にも関税をかけている。TPP加入国では豪州は5%、カナダは6.1%、ニュージーランドが10%の関税をかけており、税制上は不公平な状態が続いている。日本に農産物の関税撤廃を要求するのであれば、自国の自動車への関税を撤廃するのが筋だろうが、アメリカは頑なな姿勢を崩さない。

◆TPP交渉に強硬な姿勢のアメリカは必ずしも一枚岩ではない。自動車の関税が撤廃されると、優秀な日本車に押され、米車の苦戦が予想されるため、国内業界や労組が抵抗して、交渉が難航する。「農産物の関税撤廃を要求するならば、まず自動車の関税をゼロにしてから日本に要求せよ」と強い姿勢で臨めないものか。さらにけしからんのは「日本の安全性、環境性を重視した」形式指定や日本独自の「軽自動車」を目の敵にして、規制撤廃を求める。欧州車が日本でシェアを伸ばしているのに、米車が売れないのは日本のせいか?

アメリカの我儘、エゴ、強引さがTPP交渉を難航させている。それを日本の農業分野のせいにしているが、米国は新興国にも大幅な譲歩を迫っており、反発も少なくない。「知的財産権」や「競争政策分野(国有企業)」でも、マレーシアをはじめとする新興国との対立は拡がっている。アメリカは11月の議会の中間選挙を控えて、5月からの予備選の本格化に向けて、業界団体の圧力を受けて強硬姿勢を取らざるを得ない状況だと云う。
日本と同じ構造ではないか。何も国益を犠牲にしてまで譲歩することはない。加盟各国が国益を前面に出して交渉がまとまらないのであれば、分野ごとに二国間で交渉するEPAを推進する方が手っとり早いのではないか。交渉ごとは Give & Take がセオリー、それを忘れ、Take&Take だと思っている大国があるらしい。

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