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2014年3月 9日 (日)

ウクライナ騒乱から見えてくるもの(後半)

◆中国はロシアのウクライナへの軍事介入に対して、当初「中国は一貫して内政不干渉の原則を支持し、ウクライナの独立、主権と領土の一体性を尊重する」などと一見中立的な発言をしていたが、対露制裁に傾く欧米諸国の動きに対しては「中国はすぐに制裁を発動したり、制裁すると脅したりすることには一貫して反対だ」とロシアを擁護するような発言に変わってきた。即ち、国内に新疆ウイグル自治区やチベット自治区、台湾問題等抱える中国は、外国の干渉を許さないという点でロシアと共通の認識がある。

◆また、かつて最高実力者鄧小平氏が語った「強くなるまでは姿勢を低くする」という戦略は、GDPが日本を上回った時点で終わったとして、一昨年あたりから日本に対して強硬姿勢に転じ、それを裏付けるための軍事力増強は北東アジアの軍事バランスを壊すような脅威となっている。日米同盟が主として国内で基地問題や集団的自衛権問題でギクシャクしている今、中国は尖閣諸島問題で米国が日本を助けるつもりはないと思っている。米国も中国と一戦交えることはあり得ない。人権的な問題には目をつぶっても経済交流拡大を築いていくことが米国の国益に叶うと思っているのではないか。しかしながら中国が太平洋に権益を求め、米国と半々に分けると云う中国の野望には組みしない。

◆こうした中国の脅威に対して、日本一国で立ち向かう事は到底不可能なことは明白だ。まともに外交交渉しようにも背後に強力な軍事力をチラつかされては、交渉も何もあったものではない。今は一応日米同盟があるから、あからさまに尖閣諸島領有を控えているが、その気になればいつでも実行可能な状態にある。国際世論の批判をかわす為、日米同盟にくさびを打ちこみ、日本を孤立化する戦略をとっている。そのためロシアとは元共産圏ということで価値観が近く、友好関係を維持して置く方がベターと捉えているのだろう。一番困るのは日米同盟が強化され、盤石な体制を築かれることに他ならない。

◆安倍総理は北方領土問題に注力し、プーチン大統領との交流を深めているが、ロシアのこれまでのやり方を見ていると、本気で返還するつもりはないことは明らかだ。飴玉をちらつかせ、経済協力だけ引出して、「ハイ、それまでよ」で終わる公算大。あまり期待を持つと失望も大きくなる。アメリカもオバマ政権になってからあちこちで軍事介入するものの実効が伴っていない。「弱くて決断力のない大統領がロシアのウクライナ介入を招いた」と国内でも批判が高まっている。ロシアと中国の両軍事大国の台頭で、相対的にアメリカの地位が低下している今、日本も真剣に立ち位置を考える時だ。

◆日本が防衛力強化のため軍事費を増大することは、国民も周辺諸国も望まない。「アメリカとの集団的自衛権を強化することも戦争に巻き込まれる恐れあり」で反対の声もあがる。もっとも有効な防衛手段としての核武装などもってのほか。結局詰まるところ米中露のパワーバランスの中で強力な軍事力を背景にしないと外交交渉も旨く機能しないということはウクライナの行方を見るまでもなく明らかだ。しかし資源が無い日本は軍事大国足り得ない。憲法の制約もある。近い将来、中国の野望のまま属国にされる可能性が無いとは言えない。そんなことは想像もしたくないが、そうなったら、そんな日本には住んで居たくない。(終り)

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