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2014年2月 4日 (火)

映画「小さいおうち」を鑑賞

◆”家族の絆”や”人と人の絆”をテーマに取上げ、笑いとペーソスを描き続けた山田洋二監督が82作目で初めてと言える本格的な男女の愛、家族の秘密という「ミステリアス」な部分に迫り、新しい世界に踏み出したと評判の映画「小さいおうち」を鑑賞してきた。原作は直木賞作家の中島京子の同名小説。 
昭和初期、雪深い山形から、14歳にして東京山の手の家庭に女中として住み込む主人公「タキ」。当時中流の上の家庭では女中(現在のお手伝いさん)を雇う事はごく普通のことで、田舎でも口減らしのため、多くの若い女性が都会に出かけた。花嫁修業の一環でもあった。


◆物語の時代背景は、昭和10年~終戦直後、そして平成12年~21年頃。二つの時代が交差しながら、やがて一つに繋がっていく有り様が、山田監督が実際に見てきた昭和と平成の風景を織り交ぜながら、リアルにかつ壮大に描かれている。(映画解説より)
ストーリーの展開はさておいて、この昭和10年代の場面展開は、自分が九州の長崎で過ごした幼年期から少年期(昭和25年~30年)の雰囲気と重なるものがあり、懐かしい気分に浸って、映画の世界に引き込まれていった。それもそのはず、未曾有の戦争を経たとはいえ、わずか15年から20年しか経っておらず、物質的貧しさは逆戻りしたが、次第に復興へ向けて明るい未来が描ける時代だった。


◆ここに登場する昭和は、大正時代から始まった和洋折衷の文化が、大輪の華を咲かせた時代。音楽はクラシック、シャンソン、ジャズなど欧米から次々と輸入され、建築物においてもモダンな洋風のデザインが取り入れられた。子供の頃友達の家に遊びに行き、全体としては和風建築ながら、一部が洋間となり、出窓・テラス等を構えた造りに、おシャレを感じた。
また映画はサイレントからトーキーに移行し、ハリウッドが黄金期を迎えた。これらの西洋文化と日本文化が混じり合って生まれた独特の世界観が昭和モダニズムである。亡き母が華の女学生時代を過ごした時代で、そのムードは話を通して、また母のアルバムの中から読み取れた。本作でも赤い三角屋根に、ステンドグラスがはめ込まれた扉や窓、蓄音器、食器棚、紅茶カップにいたるまで、当時の流行が完璧に再現されていたという。


◆やがて始まる第二次世界大戦の足跡に微かに脅えつつ、だからこそ人生を楽しもうと華やぐ人々の暮らしの輝きが、胸に迫ってくる。今、日本が昭和ブームに湧いているのは、その輝きに惹かれているからかもしれない。そうした光の背後に、恐ろしい戦争へ向かう軍国主義の暗い影が音を立てて迫っていた。山田監督は「この作品は東京近郊のモダンな家で起きたある恋愛事件の秘密を巡る物語が核にあるけれども、そのストーリーの向こうに、あまり見つめられてこなかった当時の小市民家庭の暮らし、戦前から敗戦の時代を描きつつ、更にはその先に、果たして今の日本がどこに向かっていくのか、というようなことも見えてくる作品にしたい」と述べている。監督のこの思いを胸に抱いて鑑賞したい作品である。
(独断流評価:☆四つ)

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