話題の書「呆韓論」について(2)
現代に通じる両班(ヤンパン=貴族)思想
◆日本が室町時代、3代将軍足利義満の頃、1392年に朝鮮半島に李氏朝鮮が建国された。李氏朝鮮は約500年間、儒教を中心とした厳格な身分制度の封建時代が続いた。1897に日清戦争の結果、「清」の冊封体制から離脱し、日本の影響下に置かれた。国号を大韓帝国と改めて近代国家への道を歩み始めた。謂わば、日本が封建身分制度を開放したと云えるのだが、韓国からみれば植民地体制下に置かれたということになる。
◆王朝の体制は小中華体制とも云うべきか、朱子学の知識を問う科挙に合格することが官職を得るための第一歩だった。貴族の子弟だけが科挙を受験でき、合格してからも多額の賄賂を遣い、ようやく官職に就くことができた。そのため官職に就くや、それに付随する権力を行使して不正蓄財に励み、血縁者を登用させようと画策した。
◆今日の韓国の上層社会で見られる受験戦争と、ひと握りの特権階級の存在は李王朝の権力闘争の歴史を想起させないか。日本が身分制度を開放して、機会均等を持ち込んだものの、現代の韓国人は、長年染み付いた体質から脱却することを拒み、過去の体質を現代風に蘇らせる道を選択したということなんだろう。旧植民地時代を知る80~90歳代の人は少なくなっているが、日本の悪口を言う人は殆どいないという。
これに関連する話題であるが、昨年5月、ソウルで老人達が集まる市民公園で(日本で言えば、巣鴨地蔵か)ある事件が起こった。95歳の老人が「日本の統治時代は良かった」と述べたことに腹を立てた37歳の男が老人に暴行を加え、死亡させた。この傷害致死事件で男は懲役5年の判決を受けたという。年長者を大切にする儒教社会が聞いて呆れる。しかしこれには但し書きが付くそうだ。「金持ちの老人は」というフレーズが前につけば・・。
◆今日の韓国の上層社会(高級官僚や大手財閥の経営陣)は李王朝の両班(ヤンパン)の権力闘争と本質的に変わらないと筆者は言う。上に対しては「イエスマン」で、ライバルに対しては時に讒言(告げ口)を弄し、蹴落す。そして利権をあさり、中下層に対してはどこまでも横柄だ。弱い者には強く、強いものにはゴマを擦って、スリ寄る。確かに今の韓国の姿勢に通じているようだ。(続く)
« 話題の書「呆韓論」を読んで(1) | トップページ | 話題の書「呆韓論」について(3) »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 金権主義と恋愛の関係(下) -小説「金色夜叉」に学ぶ-(2017.03.30)
- 金権主義と恋愛の関係(上) -小説「金色夜叉」に学ぶ-(2017.03.29)
- 話題の書「呆韓論」について(最終回)(2014.02.20)
- 話題の書「呆韓論」について(4)(2014.02.18)
- 話題の書「呆韓論」について(3)(2014.02.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント