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2013年4月25日 (木)

映画「リンカーン」を観て

◆「歴代アメリカ大統領の中で、誰が最も偉大な大統領だと思うか」という各種世論調査ではジョージ・ワシントン、セオドア・ルーズベルト、フランクリン・ルーズベルト、トーマス・ジェファーソン、ロナルド・レーガン、ジョン・F・ケネディ等の名前が上位に挙げられる中で、常にトップにあるのが第16代「エイブラハム・リンカーン」だ。

◆名匠スティーヴン・スピルバーグ監督による伝記映画「リンカーン」を観てきた。今、何故リンカーンなのか?現在のアメリカは民主党、共和党の政党がことあるごとに対立し、現実に横たわる多くの危機に直面して、確たる方向性を見いだせず、世界のリーダーとしての地位も下がりつつある。今、リーダーに求められる資質をスピルバーグ監督は、「リンカーン」という実在の大統領に求めた。

◆奴隷制の存続と廃止を求める争いは1861年から南北戦争に発展し、泥沼化していた。当時大統領だったリンカーンは奴隷制の廃止と禁止を強固なものにし、戦争を終結させるため、憲法の修正に挑む。リンカーンを演じるダニエル・デイ=ルイスはその風貌もそっくりなら(多分)、国家と人民の未来をめぐる理想と現実に苦悩する胸中を、見事に演じている。独学で博識、説得力のあるコミュニケーション力、清濁併せ持つ行動力、スケールを超えた理想追求の熱意・・ストーリーの頂点は精力を注ぎ込む議会の多数派工作にある。

◆浅学の自分は保守派=奴隷制存続=共和党、進歩派=奴隷制廃止=民主党と思い込んでいたが、実は全く逆で、リンカーンは共和党の初代大統領だった。それより以前からあった民主党こそ、奴隷制存続を望む勢力を多く抱えていた。映画の前半は議論の連続で、よほど頭をすっきりしていないと眠くなる。悲惨な戦闘場面や有名なゲティスバーグの演説場面が展開されるが、何人もの黒人が傍聴席に座る中、修正案が僅少差で議会を通過する場面はスリリングだ。リンカーンが事を成し遂げ、劇場で暗殺されるまで(その直接の場面はない)を描いているが、実に暗殺された最初の大統領にもなった。

◆自分はこの映画を観ていて、現代の銃規制の問題とオーバーラップして見えた。無差別発砲事件が起こるたびに銃規制の世論が湧き起こる。そして常に業界をバックにした共和党の反対にあって否決される。理想と現実の差が余りにも大きすぎるのだ。この問題はある意味、150年前の「奴隷解放宣言」よりはるかに困難な問題と云える。何故なら、奴隷解放の問題は米国内の問題で済んだ。銃の廃絶は世界中を巻きこまなければ前に進まない。さらにアメリカの根幹そのものを変えなければならないからだ。そのためにはリンカーンを超える指導者の出現が求められる。

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» 『リンカーン』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「リンカーン」 □監督 スティーブン・スピルバーグ□原作 ドリス・カーンズ・グッドウィン□脚本 トニー・クシュナー□キャスト ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、トミー・リー・ジョーンズ、デビッド・ストラザーン、   ...... [続きを読む]

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