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2013年1月24日 (木)

映画「東京家族」を観て

◆小津安二郎監督の名作「東京物語」をリメイクした山田洋二監督の「東京家族」。封切り前からから楽しみにしていたが、やっと昨日観てきた。山田洋二監督によれば、もっと早く完成する予定だったが、製作中に「3.11の大震災」が勃発。そのまま製作を続行することを一時断念。新たに脚本に鎮魂の意を込めて、震災の挿話を入れ、一部書き換えてようやく完成したという。

◆山田氏によれば、若い頃は小津安二郎の「東京物語」は全然評価していなかったという。小生も何十年か後にテレビ放映を観て「全然つまらない、どこがいいのか」と思っていた。ところが映画監督として名声を極めた今、この齢になって初めてこの映画の凄さが理解できるようになったという。そうして小津さんに捧げる意味で、時代設定を現代に置き換え、リメイクして世に問うた。

◆昭和28年(1953)、ようやく戦後の混乱を抜け出し、復興に向かって世の中に明るい兆しが見え始め、映画や歌が多く作られるようになった。大人は「君の名は」に、子供は「笛吹童子」に夢中になった。そんな時代に今から思えば「今日の家族の在りよう」を予見するような映画を製作したということは、本当に凄い事だと60年後の今つくづく思う

◆橋爪功と吉行和子が扮する老夫婦は子供達が暮らす東京の様子を見てみようと、生まれ育った瀬戸内海の小島を発って、上京してくる。働き盛りの子供達は親を大切にしようとする気持ちと同様に、日常の仕事、子供達の世話に追われている。今、我々の世代もかつて大なり小なり、都会での暮らしの中に田舎の両親を迎えて接待したり、また時代を経て、自分の子供達が世帯を持って子育てに追われている有り様を見ると、その両方の体験がオーバーラップする世代になったのだと、改めて感じ入る。

◆小市民の家族の絆と葛藤を描いた小津監督の作品を現代風にアレンジしているが、その本質は全く変わりない。また小津監督独特のカメラアングルの低さ(人が座った視線)の手法を引き継ぎ、配役陣も「橋爪功」の頑固一徹の爺さん役、吉行和子の可愛いお祖母さん役の好演が光った。終盤に進むに従いジワジワとしたものがこみ上げてくる作品だった。また発展を続ける近代的都会の様相と、終盤に出てくる瀬戸内海の日本の原風景とも云える小島の姿とのあまりのギャップにこの先の日本の在り方をどうすればいいのか、考えさせる映画でもあった。

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