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2012年10月13日 (土)

小田原ゆかりの政財界・軍人達の別荘の話(4)

【6】黒田長成・金子堅太郎---「清閑亭」
◆戦国武将黒田長政といえば長方形の鉄板のような奇妙な兜を連想するが、関ヶ原の戦いの功により、初代福岡藩主52万石に封じられる。それから数えて12代目の最後の藩主が「黒田長知」で、その長男で黒田家13代目の当主になったのが黒田長成だ。明治維新後、大名・公家はすべて東京で生活するように命じられる。31歳の時侯爵を授けられる。

◆黒田長成を語る時、藩士だった金子堅太郎を抜きには語れない。明治4年の岩倉使節団員だった藩主「黒田長知」に随行した金子はそのままアメリカに留学し、小、中、高を飛び級で進級、明治9年(1876)苦学の末、ハーバード大学に入学、小村寿太郎と同宿し勉学に励む。明治11年(1878)年、同校を卒業し、帰国後、東京帝国大学の初代行政法講座の担当者となる。

◆長成より14歳年長の金子は主筋である黒田長成に「慶応義塾を中退して、大学予備門で英語を習得し、然るのちケンブリッジ大学へ留学」を勧める。長成は明治18年(1885)大学予備門を卒業後直ちに剣橋大学に入学し、1887年20歳で卒業した。明治27年(1894)から大正13年(1924)まで、30年間貴族院副議長を務め「万年副議長」と云われた。一方金子は常に伊藤博文を助け、大日本帝国憲法の起草に参画したり、政治家としても大臣を歴任、皇室典範等の整備や、文人として漢詩や書を多く残した。最も有名なのが日露戦争の時、ハーバード大学在学時面識のあったセオドア・ルーズベルトとのコネを活かして対米工作を任され、1905年の戦後処理(ポーツマス会議)では小村全権より依頼され、ルーズベルト大統領と会見してその援助を求め、講話の成立に貢献した。彼は学者であり、法律家、政治家、外交官、文人として多くの業績を残した。男爵、昭和17年死去、90歳。因みに黒田長成は侯爵、昭和14年死去、77歳だった。

◆さて、清閑亭のことである。黒田長成が小田原城三の丸外郭の土塁の上に建築した数寄屋風の別荘は、明治39年(1906)から大正初めにかけて建てられた。平成17年に国の有形文化財に登録された。相模湾を一望できる高台にあって、室内には山縣有朋筆による漢詩「豊公石垣城址懐古」の掛け軸に「勝絶たる風光、此の中に在り」との一節が見られる。現在「清閑亭」は小田原市の所有となり、一般に開放されて茶菓子なども有料で頂ける。

【7】明治の元勲伊藤博文---「滄浪閣」
◆明治22年、帝国憲法草案が一段落した後、枢密院議長の辞任の意志を表明し、自身も小田原に永住するつもりで、御幸の浜に面した場所に別邸を建設した。翌年完成し「滄浪閣」と命名された。ところが意に反して、明治23年貴族院議長に就任、同25年には第二次伊藤内閣を組閣することになる。明治26年民法改正に着手。起草委員に任命された3名の法学博士は、明治27年の5月から秋まで、この「滄浪閣」に缶詰になり、民法原案の執筆を行った。そうしてついに明治31年7月、「民法」全五編が施行され、この地は「民法発祥の地」と云われるようになった。

◆明治23年頃、伊藤が小田原の滄浪閣に向かう途中、大磯に立ち寄り、その白砂松林が気に入って、夫人の病気療養のためにも、この地に別荘を建築することを決める。別荘が完成すると小田原の滄浪閣を引き払い、大磯の別荘を「滄浪閣」と命名した。明治30年には本籍を東京から大磯に移したため、滄浪閣は別邸ではなく本邸となった。

◆小田原に残された別邸は「養生館」と改名し、リゾート旅館として再開されたが、明治35年(1902)の大海嘯と大正12年(1923)の関東大震災で壊滅した。現在その跡地には、伊藤の胸像と滄浪跡の碑が叢の中にひっそりと立っている。「昔の光、今いずこ」 (続く)

Dscf4182  伊藤博文公石像

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