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2012年4月27日 (金)

国家の品格 (1)

◆現代の中国に「国家の品格」があると思う日本人は、まずいないのではない
でしょうか。先日読売新聞の「地球を読むシリーズ」に劇作家の山崎正和氏が
「科学振興策」というテーマで寄稿していました。その提言を読んで、冒頭の小
生が投げかけた問題の遠因が分かったような気がします。


◆提言の趣旨は、「科学」と「科学技術」とは異なり、純粋な科学・文化としての
科学の振興を国益の観点ではなく、「国家の品格の問題」として考え直す時期
がきているのではないかというものです。日本では科学は技術の基礎研究と
してしか位置づけられておらず、公費助成はあくまで技術開発の基礎になるも
のが中心であり、一見「何の役に立つのか」という科学の研究への助成は後
回しにされがちです。


◆西洋の科学は古代ギリシャの時代から純粋に知的好奇心を満たすために、
一種の遊びの精神から数学が発達し、自然現象の因果関係を探り、物質の
成り立ちを分子、原子、素粒子の単位まで追求しました。そうすることによって
自然の解釈に神の意志を持ち込む範囲を狭め、人間の理性の役割を大きく
することができたのです。


◆翻って古代中国の技術文明を見てみると、紙や火薬や磁石など偉大な発明
はすべて帝国を統治するための必要から生まれたもので、支配する側の目的
は帝国の安寧と秩序の維持でした。彼らは「礼」と「詩」と「力」の観念はあって
も、真理を探る知的好奇心の芽生える余地は乏しかったと氏は言います。


◆火薬には硝石が必要と分かって、技術は発展し、小銃から大砲まで発明した
のに、硝石に含まれる酸素の発見には至らなかった。しかし内乱が収まると、
技術革新の意欲も衰えて、やがて中国は長い停滞期を招いたのでした。


◆西洋起源の科学は人間の好奇心から、功利的必要がなくても、知的な革新
を引き起こし、やがて産業革命の時期を迎えると科学と技術が結びつき、巨大
な産業化の時代を招きました。日本の場合、西洋科学の知的蓄積には乏しか
ったものの、明治期以降、科学技術教育に国家の総力を傾けたことは賢明で
した。科学の発展は先進国に期待し、その成果を輸入して実用化に励むとい
う政策は時代の状況に合っていました。西洋の発見を実用化するという点で、
日本が先んじた礼は数多くあります。(続く)

                      (4月22日付、読売新聞1,2面参照、一部引用)

Photo  
「オランダ/デフルト東門」 (二宮 T・Uさん画

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