日本人の習性…読売新聞「磯田道史」の評論から
日本人の習性について、読売新聞歴史欄に磯田道史氏が興味深い評論を寄稿していた。
19世紀初頭、蝦夷地を廻るロシアと日本の軋轢で、日本の商人「高田屋嘉兵衛」とロシア海軍士官「ゴロウニン」の身柄交換にいたる事件があった。ゴロウニンは日本人を評して「日本人は聡明・模倣上手・忍耐強く勤勉だ。偉大な王者が君臨すれば多年を要せず、全東洋に君臨する国家になる。短期間のうちに欧州列強の海軍と比肩できるに違いない。」といった。明治維新の半世紀以上前のことである。
そのことは日露戦争の「日本海海戦」で現実のこととなる。参謀の秋山真之は対戦前に海軍で戦術の講義をした。「これからは、海軍は無用の古物になり、空軍万能の時代が来る。海中と空中の立体的戦場となり、いまから教える平面戦術は役に立たなくなる。」と。まだ飛行機が確としていない時代である。
「世の中は変わる。人智と機械は進歩する。過去にとらわれず自らを変えるのに躊躇しなかった。」 当時これを「変通」といった。この先見性を昭和の軍人が真に学んでいたなら、歴史は違ったであろう。
また外国人たちは日本人の弱点をよく見ていた。「厳しく躾けられ、政府への服従に慣れた国民」であり、「統治者と被統治者が同じ原理である議会の使い方が不得手である」とみた。 英国人女性が明治初年に日本各地を旅行。公共事業の無駄が多いことに驚いている。公共のお金が大勢の役人によって喰い尽されていると。
というような趣旨の評論であったが、100年以上経った今、江戸時代に形成された日本人の習性、「強みと弱み」は「弱み」ばかりが生き残り、「強み」はどこかに行ってしまった。今の世の人々は日本人の習性特に「強み」を歴史から学びとっていく必要があるのではないか。
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